2011年11月14日

ツレがうつになりまして。

 すみません、またしても堺雅人目当てでございます。
 なんだかすぐ見に行くのがもったいないかな、と思っていたら見に行く時間がなくなり、このままでは終わってしまうわ!、と焦っての鑑賞。 かなり遅い時間のレイトショーでしたが、中高年のカップルが結構多い客席でした。

  ツレウツポスター.JPG 健やかなるときも、病めるときも、キミと一緒にいたい。

 夫がうつ病になったことをきっかけに自分たちの関係を見つめ直して成長していく夫婦のラブストーリー、ということでしたが・・・うつ病のことを説明しながらもあまり深く説明しきっていないところに(そこはあえてそうしなかったんだと思われるが)賛否両論わかれそう。 病状・症状には個人差があります、とは言われるものの、多分今患っている方が見たら腹が立つかもしれない(きれいごとしか描いてない、みたいな)。 病気のことを知らない人が見たら「そんなもんなんだね〜」で終わってしまいそうな危険性も無きにしも非ず。 だから“うつ病をテーマにした映画”ではなく“うつ病をきっかけとした夫婦のラブストーリー”として宣伝することにしたんだろう。
 そこに、制作側の誠意を感じます。
 宮崎あおいがかわいらしいのは勿論であるが、堺雅人がこれまた大変かわいらしい。
 うつ病患者ってそうじゃない人から見たら非常に鬱陶しい存在なのだが、それをただ鬱陶しい人ではなく“キュート”に描いているのがとても素晴らしい。 だからほんとはすごく深刻なシーンでも、笑いがおこったり微笑ましく見ていられるのだ。 観客側の心理に負担をかけない、素晴らしい芝居です(ただ逆にそれがうつ体験者の怒りを買う部分かもしれないのだが・・・でもよく見れば、ツレさん側のつらさも描かれているのですがね)。

  ツレウツ9.jpg はっきり説明されないが、だぶだぶのコートが激痩せを示唆。
 知っている精神科医に訊いたところ、患者さんにはこの映画を見ることを薦めてはいないとか(勿論禁止してるわけじゃないが、見たほうがいいとも言わない、と)。 何故ならば、治りかけの人には自分のどん底だった時期のことを思い出させてしまうから。 今つらい人は自分の境遇と比べて「自分にはこんな風にわかってくれる存在がいない!」と余計落ち込んでしまうから、だと。 確かに、いろいろなことはあっても順調に治っていくように描かれているし、妻だけでなく妻の両親(大杉漣・余貴美子もまたかわいらしい)も協力的で理解がある。 こんな環境にいる患者のほうが多分少ない。

  ツレウツ6.jpg 夫「昼間からごろごろするなんて申し訳ないよぉ」
    妻「いいじゃん、別に。 今は休むのが仕事」

 夫婦二人の姿がメインなので医者の描き方が通り一遍だったり、出てくるのもいい人が多かったりと“うつ病”という側面から見ると足りてない個所がいくつもあるのですが、それはそれ、わかった上であえてライトに描いたことに意味があると思います。 深刻に描こうと思えばいくらでも描けるのだから(そしてストレートに深刻に描かれたら見るほうもまたつらいぜ・・・)。
 うつ病を通り抜けた人、通り抜けかけている人には、過去の自分を客観視できる素材として非常に有効だと思います(だから堺雅人を主演男優賞に!)。
 それ故に、妻のマンガが立体化していくファンタジック描写はいらなかったな・・・この映画の世界自体がファンタジーとリアルの境界線ぎりぎりのところに存在しているので、そういうことをされると醒めてしまう。
 が、前作『日輪の遺産』ではダメダメだった中野裕太が意外にもいい味を出していたりして俳優として急成長していることに驚きました。
 あと、グリーンイグアナのイグくんが超キュート!
 うつ病は心の風邪、と言われたりしますが、風邪も人によってはあっさり治ったりするけどこじらせて肺炎になったりする人もいる。 ほんとに人によって症状が違うし、周囲に理解者がいたとしても治るかどうかはまたわからない。 薬だって効く人と効かない人がいる。 以前に比べれば世間の理解度は進んだ病気ではありますが、まだまだですね。
 この感覚を、他の病気にも置き換えて考えることがいろんな人とかかわる上で大事だなぁ、と非常にまともなことを考えてしまいました。
 でもなんだかんだ言っても、今年見た日本映画の中で見終わった後の気持ちはいちばんいいかも。 堺雅人、新たなレパートリーを増やしたね!

ラベル:日本映画 映画館
posted by かしこん at 01:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする