2011年11月13日

カンパニー・メン/THE COMPANY MEN

 『アザー・ガイズ』がおバカ映画のジャンルの中から「大会社のトップが末端の労働者の700倍もの給与を得ているのはおかしい」というまっとうな訴えをしたのに対して、この映画はそのことに真っ向から取り組んでいる。 リストラの嵐が吹き荒れるアメリカ重工業界(この映画では造船業)を描きます。

  カンパニー・メンポスター.jpg どんなときも、上を向こう

 アカデミー賞受賞者勢揃いで描かれる本作、初監督は『ER』などでおなじみのジョン・ウェルズとなればスピーディーな展開を期待してしまうのですが、意外にもゆったりじっくり描写でございました。
 総合企業GTXに販売部長として勤務しているボビー(ベン・アフレック)は朝からゴルフを仲間と楽しみ、悠然と出社するような「エリート社員」。 「今日のスコアはいくつだと思う?」などと能天気に社内の人間に声もかけるも、反応は鈍い(しかしその理由に考えが至らず、空気の読めないコメントを続ける)。 リーマンショック後の不景気の影響で株価が急落、会社は大規模なリストラを始めようとしていたのだ。

  カンパニー・メン5.jpg ご想像の通り、ボビーはクビになる。
 こんなやつ、そりゃそうだろと観客は思うのだが、ご本人はまったく納得いっておらず、そのうえすぐにもっと好条件で再就職できると考えており生活スタイルを改めず、家族を苦しめることになるわけで。
 ほんと、ダメ男がほんとに似合うなぁ、ベン・アフレック(しかも愛嬌があってどこか憎めないダメ男じゃなくて、ほんとにダメな男のほう)。 それに比べてボビーの妻(マギー・ウォーカー)は非常にいい人で、突然失業した夫を献身的に支える。 なんであんなダメ男にこんないい奥さんがいるのか、不思議で仕方がないのだが、ボビーの義兄(ケヴィン・コスナー)が大工の棟梁さんでブルーカラー家庭出身だからかな、と思ったり。 手に職を持つ人はやはり苦境に精神的にも強い。
 GTXの重役で造船業部門のトップであるジーン(トミー・リー・ジョーンズ)はリストラから社員たちを守ろうと奮闘するが、一造船技師から出世した大ベテランのフィル(クリス・クーパー)もクビになり、ついにジーン自身も会社を追われることに。

  カンパニー・メン4.jpg かつて、ともに起業した仲間なのに。
 しかしジーンは株主でもあるので仕事がなくても生活は困らない、という皮肉。
 アカデミー賞受賞俳優勢揃い、な割には4人が全員集まるシーンはないのでちょっと物足りない(ケヴィン・コスナーの役は非常においしい役どころだというのに出番が少ない・・・ほぼ出ずっぱりともいえるベン・アフレックがダメダメ男なので印象に残らないのだ)。 いちばん印象深いのはトミー・リー・ジョーンズかも。
 「おめー、ほんとに仕事してんのかよ!」というようなやつの年収が1200万円余りと言われたら、そりゃウォール街でデモもしたくなるわな・・・という収入格差社会のどうしようもない矛盾を丁寧に描いてくれていますが、どこかむなしい(勝ち組に見える人たちも、リストラにあえばローンの多重債務者になるだけ。 身の丈に合った、ほどほどの生活というのができんのか? 見栄消費、まだまだアメリカでは盛んです)。
 アメリカの“ものづくり”はもう終わった、と誰かが言っていたのを聞いたせいかもしれない。 そしてこのままでは日本もそうなるのかな・・・というイヤな感じ。 映画は希望を残した終わり方になっていますが、現実はそんな簡単にはいかないだろうな、とつい考えてしまったり。
 やはり“ものづくり”をおろそかにする国には未来がないのだな・・・。

ラベル:外国映画 映画館
posted by かしこん at 05:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする