2011年11月07日

ザ・ポエット/マイクル・コナリー

 ボッシュシリーズ10作目『天使と罪の街』を読もうとしたら、「これは『ザ・ポエット』の完結編にあたり、読んでなくとも話は通じるがコナリーの最高傑作ともいえる作品である『ザ・ポエット』のネタバレを含んでしまうので、まだの読者は先に『ザ・ポエット』を読むべきだ」的なこと訳者・解説者に再三言われて・・・先に読むことにしました。

  ザ・ポエット1.jpgザ・ポエット2.jpg なんか根負け。
    版元が扶桑社なので、またも上下巻の工夫がない表紙に。

 『ザ・ポエット』は刊行当時、地元の書店で買うかどうかさんざん迷った本で・・・(勿論そのときはマイクル・コナリーという存在は意識の外)、結局買わなかったのですが存在は覚えています。 『夜より暗き闇』でちらりと登場した新聞記者ジャック・マカヴォイが主人公だということで・・・でも『夜より暗き闇』でのジャックの印象があまりよくなかったんですよね(いや、あれはボッシュの印象もよくなかったが)。 主人公は必ずしもいい人だったり有能すぎる人間じゃなくてもいいのですが、どうもジャック・マカヴォイくん、いまいち。
 デンバーで新聞記者をしているジャックは殺人課の刑事として勤務している双子の兄ショーンの突然の自殺に衝撃を受ける。 兄を助けることはできなかったのかと自責の念にかられて周辺を調べるうちに、ジャックは“警官を自殺に見せかけて殺している人物”がいるのではないか、と考えるようになり・・・被害者の弟でありながら特ダネを追う新聞記者である自分、そして新聞記者では調査には限界があるのでFBIにネタを売り込み捜査に噛ませてもらうなど自分では心の中で言い訳をしているもののジャックの行動パターンは虚栄心あふれた新聞記者のものである。 そのくせ時折プロ意識に欠ける言動があり、ちょっとこの人と同じ仕事場で働くのはいやだな、と思わされた。
 現代のミステリやハードボイルドの特徴として、事件解決者はかつてのようなヒーローではなく、自分自身悩みや苦しみ・トラウマを抱えた不完全な人間で、その穴を埋めるように他人の底知れぬ心の闇を探らずにはいられない、という傾向があると思うんだけど、それでもやはり多少なりとも共感できる部分があった方が読んでて楽なんだよなぁ、ということに気づきます(これって読者として怠惰ということだろうか・・・)。
 で、肝心の意外な犯人ですが・・・<驚愕の真相!>と煽られていたのですが、『ナイトホークス』を読んだ後では特に意外性がないのですが、どうしてくれましょうか。(解説にも「『ナイトホークス』と合わせ鏡とも言える作品と書いてあった・・・)
 とりあえず、「アメリカ、病んでる人、多いな・・・」という感じ。
 この事件の後、ジャックは更に屈折するのか、仕事も隅に追いやられるのかちょっと気になったが・・・それが『夜より暗き闇』での彼の登場シーンにかかわってくることなのかも(だから印象悪かったのか・・・)。
 まぁこれで、心おきなく次のボッシュ作品が読めます!

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 03:30| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする