2011年10月18日

はやぶさ/HAYABUSA

 はやぶさ映画は多数進行中で、渡辺謙主演のやつが本命だと思っているのでこれはスルーかなーと考えていた。 でも見ないと比較できないし、意外にこの映画、評判いいみたいだし、どっちにしろJAXA全面協力だし、ということで見てしまいました。 いまいち不本意だったのは、わざわざ架空の人物を(しかも女性にして)主役に据えた点だったのです。 わざわざガリレオ湯川先生のワトソン役を女性に変えるのと同じセオリーが嫌なだけ。
 しかしそれを差し引いても、意外によかったんだな、この映画。

  はやぶさHAYABUSAポスター.JPG あきらめない勇気を与えてくれたのは、君――。

 はやぶさと命名される前から(それを言うなら目的地となる小惑星もイトカワとまだ名前がつけられていない)、この計画について講演で語るシーンから始まることで“はやぶさ計画”の概略がわかりやすくイメージできるようになっている。  その後は専門知識が多少でもないとつらいかも、にはなるものの、最初にイメージをつかませるというのは大事なこと。 あたしは理系に片足つっこんだことがあるのでなんとなくわかりますが、前半では「宇宙おたくはなんか見かけもオタクっぽい!」・「なんだかやたら挙動不審だ!」などというビジュアルで押し通して観客を引かせるものの、次第にそんなことはどうでもいいと思わせてくれるので登場人物への愛を感じます(それにしてもマギーの髪型は最後まで変だった・・・)。
 はやぶさとの連絡を取り合うコンソールで、コマンドを手入力して送るオペレーターさんの声や口調が軽くかつ明るめで、それで救われてる部分もあるな・・・と確信。 やっぱ、各々の専門分野で結果を出すのは個人プレーだけれど、プロジェクトとなったらチームワークですよ。 理系オタクをバカにしちゃいけません!!!

  はやぶさHAYABUSA1.jpg そこに集う人々を支えるのは“情熱”。
 そして佐野史郎が登場した瞬間(別に紹介などはないのだが)、「川口淳一郎だ!」と瞬時にわかるすごさ。 かなり似せてきている・・・それ故に、竹内結子演じる運のよい水沢めぐみさんの立ち位置が微妙というか、彼女の比重はそこまで大きくないといけないのか?、という気になってしまいました。 とりあえず変な人ばっかりの科学者・技術者の中で、高嶋兄は役柄がおいしすぎるので逆に、その中でも普通のライン上を踏み外さなかった鶴見信吾に助演男優賞を送りたい。
 確かに“はやぶさ”はけなげなんだけど・・・プロジェクト自体全部が描かれているわけではないし(はやぶさ以外のプロジェクトも完全無視なのもある。 全部やったら時間が足りないしまとまらなくなるんだろうけど)、「そこはもっと感動するところだろ!」という部分がわりとさらっと描かれていたり、かなり笑いが散りばめていたり(堤幸彦監督の遊び心は最小限に抑えられていたと思われるが)、あえて「泣かせるための感動巨編」としてつくっていないのは好印象なのですが・・・こちらとて理系に片足つっこんだことのある身。 予算の壁という名の貧乏に振り回され続けてきた理工系の悲哀が笑いでやんわりくるまれて描かれていて、笑いつつもあたしはしゃくりあげそうなほど泣いてしまった。 こんなところで泣くなんてあたしだけでは、と思ったら同じ列の5席ほど離れたところに座っている壮年のおじさまがあたし以上に号泣していた。
 技術者かしら、科学者かしら? 不遇の理工系を体験したことのある人、必見!
 希望を持って待つ、ということもまた仕事のひとつ(その間もモチベーションを高めていないといけない)。 そして、いざとなったらつらい決断もしなければならない。 佐野史郎、少ない台詞でそれをよく表現していたと思います。 上に立つ者の孤独もね。
 これは「二位ではダメなんですか」発言への痛烈な皮肉だと思うが、多分そんなこと言う人はこの悲哀に気づかずただ笑っているだけなんだろうな・・・。 文理系というか、理系も文系も両方ある程度わかる人(あたしはそのタイプだが)をもう少し活躍させてもらえる土壌がほしい。

  はやぶさHAYABUSA5.jpg 子供たちにはやぶさのすごさを説明する水沢さん。 はじめは専門用語の羅列でお客さんはちんぷんかんぷん、次第に「わかりやすい説明」を心がけ始める。 それにしても、竹内結子はどんくさいというか不器用な専門バカ的役柄が似合うよなぁ。
 日本の理科離れが言われて久しい。
 はやぶさ映画がまた理工系の持つ夢を子供たちに伝えてくれるといいのだが。

posted by かしこん at 04:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする