2011年10月07日

ゴーストライター/THE GHOST WRITER



 最近ユアン・マクレガーのうまさに気づいたので、見ます。 ロマン・ポランスキーの



新作でもあるし。



 ゴーストライターを生業としている男(ユアン・マクレガー)はある日、エージェントから



元イギリス首相アダム・ラング(ピアース・ブロスナン)回顧録を書くよう言われる。



 出版社との面接にも合格し、締め切りが近いからと追い立てられるようにラングのいる



アメリカ東部の島へ行かされるが、実は回顧録をまとめていた前任者は奇妙な死を



遂げているとわかり、そしてラングが首相時代にテロリストの不当な拷問に関与したと



いう話がマスコミに流れる。



   知りすぎた、男(ゴースト)―。



 序盤から“何かありげ”な雰囲気が全開。 しかし同じく何かが起こりそうな気配に



満ちていたにもかかわらず何も起こらなかったスタンリー・キューブリックの『アイズ・



ワイド・シャット』に比べれば、ちゃんと何かが起こります。 音楽もすごくよい!



格調高く、なおかつサスペンスフル!



 「ユアンって実はハンサムなのね〜」とよろこんだあたしだったが、本作のユアンには



その片鱗がなし。 なんというか・・・ベン・アフレックのようなくたびれ具合とでも申しま



しょうか、“機知に富んだ”とか“俊敏である”というような単語が似合わない。 そういう



役なんだからやはり彼はうまいということなんでしょうが、謎に踏み込んでいくたびに



「やめとけって! 絶対手に負えなくなるから!」と言いたくなってしまう(別に母性本能が



刺激されているわけではない。 彼はいざというときにへまをするタイプの人間なのだ)。



 また映画自体もそのことを十二分に利用し、「その先が重要だろう!」というところで



暗転させて別のシーンにつなぐ(その次のシーンで気になったことは間接的に説明



されるのだが、観客としては細かなフラストレーションがたまります)。 直接明らかに



しない彼に対してもイライラに似たものが。



 ラングの滞在する土地はアメリカという設定だけど、いったいどこ?、と聞きたいほどに



鈍色の空と同色の海、荒涼とした砂浜が広がる。 雨が多いのもまた素敵。 あたしは



好きな風景ですが、これが彼の運命を示す色なのかなぁと思うと余計にやめておけと



考えてしまうわけです(そしてポランスキー監督はアメリカ入国禁止なはず−というか



入国したら捕まる。 マジでロケ地はどこですか?)。



   風景が見えるのは窓が巨大だから。

       なんとなく、アンドリュー・ワイエスの世界にも通じる光景。



 で、サスペンスなのかといえばさにあらず、意外にコメディ要素があって笑えたり、



サスペンスとしては謎解きへの情熱が足りないのだ!(それは彼の責任)だし、そうかと



思えば突然スリラーになる。 ある意味、サービス満点?



 ちょっと中盤以降中だるみを感じますが、なんとトム・ウィルキンソンが登場してから



俄然盛り上がる!(あたしがトム・ウィルキンソンのことを好きだからだろうか・・・)



 それでもまたしてもゴーストライターくんに振り回されますが(というか彼自身が振り



回されてるんですけどね)・・・まぁ振り回されてるということは、観客としてがっちり映画の



世界に入ってしまったということでしょうか。 でもそれも、好きな(そして演技のうまい)



キャストがいるおかげ。



 それで元イギリス首相なの?、というピアース・ブロスナンの軽さ、アダムの秘書は



サマンサ姉さんことキム・キャトレルだし、アダムの妻(オリヴィア・ウィリアムス)もうまい。



 ダークな色彩で最後まで貫き通す、ある意味必然なラストシーンもなんとも言えません。



   なんというか・・・つくづくそういう世界だとしか。



 しかしイギリスも実は反米姿勢をしっかり持ってるのね、ということも考えさせられる



のでした。 この映画、実はブラック・コメディだったのか?



 ポランスキー、ただ者じゃないな〜、と再確認。



 エンドロールで、ユアンの役名がThe Ghostであるとわかる。



 そういえば名前出なかった!


posted by かしこん at 04:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする