2011年10月02日

Dear Mr. Palmer その3



 ロバート・パーマーの話、またもや続いています。



   『Living In Fear』(1996)



 The Power Station奇跡の再結成によるセカンドアルバム。 小林克也の『ベスト



ヒットTODAY』にゲストで出たロバート・パーマー、トニー・トンプソン、ジョン・



テーラーがインタビュー受けてるのを見て「なにっ!」と翌日、走って買いに行った。



 一気にハードロック色が強くなっている!(なんでもパンク色が薄くなったことで



アンディ・タイラーは参加しなかったそうな。 多分ロバート・パーマーの発言力が増し、



彼の好み優先になった部分があるんだろうな)



 ハードロック主体のロバート・パーマーのソロアルバムと考えても差し支えない出来



ですが、10年の間に彼の音楽がシックもデュラン・デュランも飲み込んでしまうほどの



ものになったということなのかも・・・と考えたりして。



 へヴィなギターにしびれます。 ドラムもすごい、逆にヴォーカル抑え気味?



 『Taxman』のカバーもハイパーです。



   『Rhythm & Blues』(1998)



 当時TVを見ていて・・・彼の歌声が流れた。 しかし曲はビートルズの“The Long



And Winding Road”。 車のCMで、ケヴィン・コスナーが出ていた。 あたしが



ロバート・パーマーの声を聞き間違えるはずがないのだ! 結果的にこのアルバムに



ボーナストラックとして収録されています。



 音楽の旅をさんざん続けてきて、一休みしたところがR&B、それもRhythm & Blues。



 直球のタイトルにやられ、中身にもやられました。



 初期の作品のリズムをベースに、当然ハイパーロック要素もあるけどあくまで主役は



Rhythm & Blues。 かっこいい!、最高傑作じゃない?!、と発売当時思ったけど、



改めて聴いてみると当時はわからなかったことがいろいろと・・・更に「すごいアルバム」



であることがわかる。 あたし自身も鑑識眼(というのか?)がついてきたからでしょうか。



 当時、プロモーションで彼は来日しており(というかもともと親日家である彼は毎年の



ようにプライベートで日本を訪れていたらしく、目撃談多数)、NHKの夜の歌番組で



“The Long And Winding Road”を歌ってくれたのだが、司会進行者が彼のことをろくに



知らない感じ丸出しで大変失礼なことを訊いていた・・・あたしは今でもそやつらのことを



許す気にはなれない。 しかしロバート・パーマーは大変紳士的な態度で、穏やかな



笑顔で対応していた・・・ますます惚れた。



 品川プリンスホテルアプローズタワーのClubeXのオープニングパーティーにお忍びで



登場し、いきなり2・3曲歌ったらしいという話を聞き、東京に行くときはたいてい品川



プリンスに泊まるあたしはClubeXの前を通るたびに「ここをロバートさまも通ったのか」と



心の中で含み笑いが抑えられなかった。 そして、いつどこで彼に会ってもいいように、



彼に言いたいことを英語で言えるように大都市に出かけるたびに頭の中で実は準備して



いたのであった。 こんな島国にも彼の音楽を愛する小娘がいることを知ってもらいた



かったから(だったらファンレター書けばよかったんだよな、と今となっては考えたりも



するのだが。 今となっては「イタい小娘の妄想」です)。



   『Drive』(2003)



 その日のことはまったく予想をしていなくって・・・新聞開いた訃報欄に、彼の名前を



見つけた。



    ロバート・パーマーさん(英・歌手)パリにて心臓発作で死亡。



 一瞬で深い穴に落ちたような気がした。 ぼろぼろと涙がこぼれて全然止まらなかった。



だが、それでも記事を最後まで読み、遺作は5月に発売されたばかりの『Drive』と知る。



 え、日本盤出てない!(だからあたしはその存在を知らなかった)



 翌日、傷心の気持ちを引きずりながらタワレコに行き、輸入盤(当然UK盤ですよ)を



買い求める。 CDウォークマンで、ヘッドフォンで聴いた。 彼の声が「DRIVE!」と言う。



 一曲目から超ド級のパワフルヴォーカル。 うわっ、全然変わってない・・・ロバート・



パーマーだ! また、涙がとめどなく流れる。



 輸入盤なのでわかりにくいが、ロバート・ジョンソンのトリビュートアルバムに参加した



のがきっかけでブルーズへの気持ちが盛り上がり、アルバムつくっちゃったよ、な感じ



らしかった。 カバーの隙間に自分のオリジナルを入れているけど、やはりどれが誰の



歌だかよくわからない・・・全部、ロバート・パーマーの歌になってる。 このアルバムが



かっこいいのは、まるでスタジオで一発録音しました!、みたいな臨場感。 生楽器の



音がくっきり。 実際、参加ミュージシャンたちがどのアルバムのブックレットよりも



ファミリーのように写真にうつっている。



 これって新たな最高傑作では! この先、彼はまた次のステップに行くという証拠では!



これが最後だなんて・・・カリビアンなアルバムとか、本気なAORとか、まだまだ聴きたい



ものはたくさんあるのに!



 尚、日本盤は同じ年の12月17日に発売。 UK盤と曲は同じだったけれど歌詞・対訳と



宮子和眞氏による解説がついていたので買いました。 が、彼の突然の逝去について



ありきたりのことしか書いていなくてがっかり・・・ありきたりのことしか書けないくらい



ショックなんだろう、と考えることにした。



 あたしも、彼を失ったことでこんなにも彼の音楽が好きで影響を受けていたことを



思い知ったのだから。



 それから、『My Best Of Robert Palmer』と『Drive』をセットにして音楽好きな人たちに



配りまくった。 ロバート・パーマーを知らない青年たちは「めっちゃかっこいいっすね!」と



言い、カントリーしか聴かない会社の人は、80年代のロバート・パーマーは軽薄な



イメージで好きじゃないと言っていた人は、『Drive』を聴いて「素晴らしいね」と言った。



 当たり前だ!、と心の中で思いながらあたしはにっこり笑った。



   『Gold』(2006)SHM仕様は2008年日本発売



 あたしは2008年の高音質CDのほうを買いました。 これはアイランドレコード時代を



メインにしたベスト盤だが、リミックスヴァージョンを多く収録していたり、しかも高音質な



もんで更に音がよく聴こえます。 デビュー曲“Sneakin' Sally Thru The Alley”の85年



リミックスのかっこよさは群を抜いており、いつもお世話になってるヘアスタイリストさん



にも聴かせてみた。



 「めちゃかっこいいじゃないですか!」



 「でしょ? でも原曲1974年だし、そのリミックスでも85年」



 「えっ! そんな古いの? 全然時代を感じへん!」



 いえいえ、多分それが正しい感じ方。 しかしあたしは趣味を利用して人間関係を



つくってるな・・・と改めて感じた(が、それがあるからこそ学校終わってからも、



会社辞めても続く付き合いがあるのだよな)。



 彼がもうこの世界にはいないことを忘れたわけじゃない。 でもときどき忘れてるかも



しれない。 彼の歌はまだここにあるし、歌ってる彼の姿を思い出せるし、そして聴くたび



新しい発見もある。 彼の音楽に対する姿勢はあたしの中に残っているし、その姿勢に



共通するものを持っていると感じる若いミュージシャンたちを見出すのもまた楽しみの



ひとつで。 ロブ・トーマス(Matchbox Twentyのフロントマン)やマイケル・ブーブレに



そんなものを感じて、あたしは彼らのファンであります。



 ジャンルは関係ない、いいものはいい、好きに理由はいらない。



 現状に満足してはいいものはつくれない、しかし基本を大事にしなければまったく



新しいものはつくれない。



 異様なまでの努力家であり理論派でありながら全然それを感じさせない彼は人間と



しても憧れである。 あぁ、54歳までにそんな人になれるかしら・・・。


posted by かしこん at 05:08| Comment(2) | TrackBack(0) | Music! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする