中学校一年生の子供に本を読ませたいが、何かいいのはないだろうか、と知人から
頼まれる。 その子は女の子だそうな。
先日過去の読書履歴を振り返ったばっかりだったので、瞬時に思い浮かんだのが
R・L・スティーヴンソンの『自殺クラブ』。

絶対面白いと思うんだよねぇ。 古典だから発想とかはその後の作家や作品に転用
されているけれども、スティーヴンソンの“語り”のうまさは簡単にまねできないもんね!
自信満々でこの本を渡したら、親からその場でクレームが。
「ちょっと、このタイトルは・・・どうなのか・・・」
え? 一瞬言われている意味がわからなかった。 どうやら彼はタイトルから『バトル
ロワイヤル』的なものを想像したらしい・・・(いや、あれはあれで面白いですけどね)。
しかし、<中一女子に読ませる本>というテーマに沿ってあたしは選んだのだから、
不適当なものを持ってくるはずがないではないか。 ロバート・ルイス・スティーヴンソン
だぞ? 『宝島』の、『ジキル博士とハイド氏』の作者だぞ! 1800年代の作家だと
わかった上でのその非難か?! 温厚なあたし、めずらしく怒りました。
「だったらまず自分で読んで、子供に読ませていいかどうか確認しろ!」
「いや、そんな暇ないんで」
だからあたしに頼んだんだろ、みたいな。 親の態度がそれでよく「子供が本を読まない」
とか言えるな・・・あきれるが、子供に罪はない(はず)。 「とりあえず読ませてみてよ」と
渡す。 後日、「本人、かぶりつきで読んでいる」という報告が。
ほら見ろ!、と言いたいところだったが大人なので我慢。 次に貸す本を探す。
『夏への扉』かなぁ、でも最初が外国モノだから次は日本のがいいか。 仁木悦子
『猫は知っていた』はどうだろう・・・でも事件ものばかりでは偏るだろうか・・・あ、これだ!

講談社文庫に最近収録され直したときに買い直したやつがあったはず。 買って
満足して読み返してはいなかったんだけど、新品同様のを人に貸すのも気が引けるので
(というか所有者はあたしなのだからあたしがいちばん先に目を通すべきなわけで)、
ぱらぱらと読み返す。
唐突だが、あたしはカエルが好きである。
カエルそのものもわりと好きだが(世界の両生類図鑑などで様々な色をしたカエルの
写真を見るのはとっても楽しい)、カエルをモチーフにしたグッズやキャラクター物も
基本的に好きだ。 その理由が特に心当たりはなかったのだが・・・この本を再読して、
気づいた。
コロボックルたちは人間の目をごまかすために、ときにあまがえるのコートを着て
行動したりするのである。 つまり子供心に“あまがえる”=“コロボックル”という図式
イメージができてしまっていたのでは・・・だからカエルという存在を好ましいものと
思っているのでは。
恐るべし、幼児期のすりこみ!
まぁ、それがわかってもあたしがカエルが好きな気持ちが消えるわけではないのだが
・・・なんとなく謎が解けたみたいで、満足。