2011年09月17日

蜂蜜/BAL



 『卵』・『ミルク』に続く≪ユスフ三部作にして完結編≫だそうですが・・・すみません、



他の二作見ていません(シネリーブル神戸で『卵』と『ミルク』をモーニングショー限定



公開してくれていましたが、これ見て「絶対見たい!」とは思わなかったので・・・スルー



しちゃいました)。



 舞台はトルコ。 深い森の近くに両親と住むユスフは6歳。 ユスフの家では猛禽類



(多分大きさからみてノスリ類)を放し飼いしているのだがそれがまずかわいくて、



あたしはまず盛り上がる。 父は森でハチミツをとり、母は茶畑で葉を摘む仕事をして



いるようだ。



   さよならは、心の奥にしまい込んだ。

                          いつか蜂蜜が甘く香るその日まで―



 森の風景、小川の流れる音、風に揺れる葉、降りしきる雨・・・なんと全編BGMがなく、



自然の音だけで構成。 こりゃ油断したら寝るかもな・・・と危機感を覚えましたが、



なんとか大丈夫でした。



 予告では「父親が姿を消したことでユスフは言葉を失い・・・」みたいなことが表現されて



いましたが、正確には父親がいるときからユスフは父親としか直接会話していない。



学校で教科書を読むのもつっかえつっかえ(もしかして文字をしっかり読めない?



それとも吃音? しかし父親と小声で話すときは不自由はない)。 母親に声を掛け



られても返事はしていないし、やたらお父さん子だな!、という印象。 まぁ、あたし自身



もともと人見知りだし、そこはユスフの繊細さのあらわれということだろうと好意的に見て



いたならば・・・ユスフ、クラスの隣の少年にとんでもないことをする!



 これで、あたしのユスフに対する同情心は吹き飛びました。 甘ったれるな、ボケ!



   母がユスフを膝にのせて語りかける

    シーンは、『小椅子の聖母』を連想させる。 しかしユスフはノーリアクションだが!



 まぁ、しばらくしてユスフは自分が級友にしたことを悪かったと反省するようだが、



級友がどう立ち直ったのかは描かれない。 子供同士ではよくあることと言われれば



それまでだが、あたしはそれをサラッと流すことができない。 だから、ユスフの青年期・



壮年期を描いた『卵』・『ミルク』を見たいとは思わなかったのだろう。 こんなやつが



繊細な大人になっている姿を見たくなかったというか。 自分の性格の悪さ、実感。



   父ははちみつを探しに森に入るが・・・

    ミツバチが姿を消し別の場所に巣を設置しなければならない決断を迫られる。



 前半で、まだミツバチがいる巣箱を開けたときに出てくる蜂がやたら黒くてビビる。



ニホンミツバチって部分黄色いからそれと同じ感覚で見てしまい、映像的にはでっかい



ハエと区別がつかなかった。 『みつばちハッチ』の影響でしょうが、ミツバチはかわいい



ものと思っていると大いに裏切られる・・・そして世界は広いのだなぁと実感する。



 バケツにたまった水面に映る月をつかもうとしてユスフが手を入れると、水面が



乱れて月は消える。 小さな波が次第に収まっていくにつれまた月が現れるけれど、



まるで乱反射されたような月のかけらが波打つ様子がとても美しい。



 この映画でいちばん美しい場面かも。



 終盤、森をさまようユスフを映すシーンはほとんどイメージビデオの世界。



 それを見ながら、あたしの心もどこかに飛んでいろいろなもの思いに沈んでいった。



 見る人の<個人的な記憶>を掘り起こしてくる映画なのかもしれない。


posted by かしこん at 15:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする