2011年09月09日

ヒマラヤ 運命の山/NANGA PARBAT



 ラインホルト・メスナーの『ナンガ・パルバート単独行』、だいぶ前に買ったけど



まだ読んでないわ・・・でも映画のほうが終わっちゃいそう、と思ってこっちを先に。



   ふたりの兄弟。 最も美しく険しい山。

              そして、運命が動きだす。



 子供の頃から仲のよい兄弟ラインホルト(フロリアン・シュテッター)とギュンター



(アンドレアス・トビアス)の夢は、ヒマラヤ山脈山頂にあるナンガ・パルバートに登る



ことだった。 いつしか登山界で名前が知られるようになった兄ラインホルトは、隊長の



カール・ヘルリヒコッファー(カール・マルコヴィクス)率いるナンガ・パルバート遠征隊に



加入することに。 遠征隊の目的はルパール壁(なんとアイガー北壁の三倍の高さ!)の



初登頂だった。 兄だけが先に行くことに不満を抑えきれないギュンターだが、隊員に



欠員が出たためラインホルトがギュンターを推薦し、兄弟揃ってナンガ・パルバートへ



向かうことになった。



   仲がよいというか・・・自由奔放な兄と、

    それを追いかける弟、の図。 兄ならもう少し落ち着け・・・。



 壮大なヒマラヤ山脈の風景、雪崩のシーンなど迫力満点。 時折挿入される



<あたかもその場にいる人の視点のような、斜面にとりつきながら首をめぐらせて見た



光景>も臨場感を増す!(でも高度による低酸素のことがあまり描かれていないような



・・・それとも登山家にとって低酸素状態は当たり前のことだからあえてはっきり描く



必要がないほど普通の状態ということ?)



 ラインホルト・メスナー本人がコンサルタントとして映画にかかわり、他の出演者の



モデルになった人々はほとんど亡くなっているため監督はラインホルトの主張だけに



偏らないように中立を心がけたらしい・・・そのおかげか、山にとりつかれたみなさん、



それぞれやなやつというか、なかなかにエゴむき出しな人物として描かれている。



 でもそれは山だけではないかも、何かに夢中になり、自分の信じる道はそれだと



思い、そのために何もかも犠牲にしてもかまわないと感じた人間はだいたいそのような



反応をするのではないか。 例えば仕事でも、この方法や考えが正しいと思ったら



それについてこれない者を容易く排斥してしまいがちではないか。 ふとそんなことを



考えてしまった。 それくらい、若きラインホルトは傲慢である。



   悪天候と言われ、一人での登頂を決意。



 まぁ、持って生まれた性格もあるのだろうが、彼はチームプレイが向かないタイプ。



 そんな彼が大規模遠征隊に入ったのが間違いといえば間違いなのだが、その当時



一般的に無名の段階では単独でナンガ・パルバートへ行く資金を調達できるわけもなく、



遠征隊に入るしかなかった、というのが悲劇の要因でもあるのだが。



   ナチス時代と事情は変われど、

            それでもやはり「国の威信」はかかる。



 とすると、これは「仕方がなかった」ということだろうか。



 間違えられた信号弾、兄に置いて行かれたと<下山ルートの確保>という重要な



任務を放り出して兄を追いかける弟。 それもまた「死んでも仕方ない」ってことか。



  

     兄弟そろって登頂には成功するが、その後下山ルートを見失い、遭難。



 <スキャンダルの真相>とチラシにあったりするけれど、実はあまりそのあたりに



ついて深く掘り下げられてる感じがしない。 映画の終わり近くで字幕で触れられて



いるだけで、知らない人にとっては「いったい何がスキャンダルなのか?」と不思議に



思えてしまうかも。 多少知っていたあたしでも、いまいちよくわからない(1970年と



いう時期にはスキャンダルだったのかもしれないけど、後年から見たらどっちもどっちっ



ぽいのである・・・)。



 というか、ラインホルトのほんとうの戦いはこの登頂から帰ってきてからなのでは・・・



だからこそ、何十年もたってこの映画がつくられたと言えるのでは。



 いろいろと、消化不良です。



 そして“山登り”と“壁登り”は種類が違うような気がするんですけど、それは素人の



考えでしょうか(あの兄弟は壁登りが好き。 岩壁を上りたいがために高山に行く、と



いう印象で行き帰りの登山を軽視しているようにも見える)。 だから「登頂」ではなく



「登攀」ではないのか・・・でも字幕は「登頂」だったなぁ。



 あと気になったのは1970年にしては服が軽装すぎないか、ということだった。



 手袋はさすがに当時のだとわかるけど、ジャケットとか薄すぎない?(まるで現代の



ようである。 しかし70年には薄くても防寒性のあるやつ開発されたのか?) それとも



当時でも軽装だという自覚があったからこそ「ビバークなんかしたら生きていられない」



というのが共通認識だったのかも(しかしそれは今でもそうだと思う)。



   山は、人を寄せ付けないからこそ美しい。



 やはり山を登る人と登らない人との間には深くて長い河がある、ということを再認識。



 とはいえ、風景とともに、音楽がまた素晴らしい! ちょっとサントラがほしくなった。



   ちなみに・・・映画館には、

   ラインホルト・メスナー氏のサイン入りポスターが飾ってありました。



 また、いろいろと考えてしまう映画でした・・・ラインホルトの本、探さねば〜。


posted by かしこん at 03:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする