2011年09月30日

Dear Mr. Palmer その2



 ロバート・パーマーの話、まだまだ続きます。



 その後、ロバート・パーマーはキャリアも運命も変えるプロジェクトに参加する



ことになる。 ザ・パワー・ステーション。



   『The Power Station』(1985)



 デュラン・デュランのジョン・テイラー&アンディ・テイラー、シックのトニー・



トンプソン&バーナード・エドワーズと、ロバート・パーマー。 今から思えば



「よく集まったな〜」の顔ぶれだということはわかるのですが、当時はそんなことは



気づかず。 やたらギターが飛ばしています。 都会的な洗練をウリにしていたはずの



ロバート・パーマーも、パワフルさを前面に押し出します。 まさに異種混合の化学



変化の結果、ロックとパンクとファンクが融合されました。 “Get It On”のオリジナルは



勿論T.REXですが、あたしにとってはこっちが最初なので・・・あとからT.REX聴いたら



「パワーが足りない?」と感じてしまう恐ろしさ。 “Some Like It Hot”は大好き!



 このアルバム、全8曲で40分に満たないために物足りなさがつきまとうのですが、



一曲一曲の完成度は半端じゃありません。



 ロバートは「長期にわたるツアーに同行するのはスケジュール的につらいから」という



理由でレコーディングのみ参加となっておりますが、そのすぐ後に自分のアルバムに



トニー・トンプソンとバーナード・エドワーズを誘っているのだから仲が悪かったはずも



なく。 そのアルバム『riptide』はシングルカット“Addicted To Love”の大ヒットを受けて



グラミー賞を受賞します。



 アメリカでの、そして全世界でのロバート・パーマー旋風、始まる。



   『Heavy Nova』(1988)



 このアルバムもなかなか入手困難で・・・でも“She Makes My Day”が初収録された



ものなのでどうしてもほしかった。 地元の古本屋さんのCDコーナーで発見したは



いいものの、¥1,480−という洒落にならないお値段。 しかし日本盤だったんです



よね〜、だから買ってしまいました(だって歌詞・対訳、解説がついている)。 でも



買ってよかったのは・・・知らない振りして“Simply Irresistible”からロックで始まったかと



思いきや、なんと三曲目“Change His Way”では彼はヨーデルを披露! やりたい放題



です・・・“She Makes My Day”の感動がかすむほどだ・・・。



   『Don't Explain』(1990)



 このアルバムがいちばん説明に困る・・・(これは輸入盤しか見つからなかったが、



これこそ解説がほしい)。 それこそ「説明不要!」とばかりにハイパーロックからの



スタートなのに、またリゾート系サウンドに行ってみたり(それも南の島民族音楽総当り



的な)、マーヴィン・ゲイをカヴァーしたり、ジャズをスタンダードからブルーズ風に歌って



みたり、オーティス・レディングもカヴァーしちゃうよ、と前半と中盤と後半とでまったく



雰囲気が違う(アルバム収録時間66分、全18曲の大作です)。



 なんじゃこりゃ、と頭を抱えた当時だけれど、しかしこのある意味のいい加減さというか



ごった煮状態が実はまたいとおしい、と気づくのちのこと。



   『Honey』(1994)



 打ち込みサウンドを使いつつ、前半は正統派のAOR(『Know By Now』などは聴く者



誰もの胸を撃ち抜きかねないミディアムテンポの名曲!)が続くのだが後半からエレキ



ギターがうなりをあげて一気にハードロックへ・・・アルバムのバランスが・・・どうして



くれる、な一枚(前半と後半とで別人では、と言われても仕方ない)。 しかし、それが



ロバート・パーマーなのである。



   『The Very Best Of Robert Palmer』(1995)



 これは、あたしが初めて買ったアルバム(ちゃんと定価で)。 『Addicted To Love』から



彼のファンになった人にとっては大満足の選曲! しかし初期を聴きたい人にはかなり



不親切なベスト盤。 でも、彼のベスト盤としてはこれがいちばんとっつきやすくて



バランスがいいのかもな、と思う(初期の曲でもほんとに有名な曲は入っているから)。



あたしはこれをベースに何曲かつけたし、『My Best Of Robert Palmer』を編集してCDを



つくり、「ロバート・パーマーを広めよう運動」を地道にしていたことがあります(勿論、



今後も機会があればやり続けます)。



 まぁ、こうして書いているのもその一環なんですけどね。



 すみません、まだ終わりません。 まだこの話は続きます。


posted by かしこん at 03:56| Comment(2) | TrackBack(0) | Music! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月29日

ハンナ/HANNA



 これぞ、“リアルもののけ姫”では?



 「『レオン』の少女のその後ともいえる物語」みたいに書いてあるものをどこかで



読んだ記憶があるのでそうなのかしらと思ったけど、全然違うじゃないか!



   リアルもののけ姫な暗殺者・ハンナ



 フィンランドの深い森の奥で、16歳のハンナ(シアーシャ・ローナン)は父エリック



(エリック・バナ)とともに暮らし、サバイバル術や様々な知識を教え込まれていた。



 どうやらハンナにはエリックに言われ続けてきた目的があるらしく、早くここを出たいと



思っているのだが、肝心のエリックは今の日々を手放し危険に突入させることを実は



恐れているようだ。



   なんだかんだと、いまいちいいところがないエリック



 だが、ついにその日は来る。 ハンナの目的は、母親を殺したCIA捜査官マリッサ



(ケイト・ブランシェット)を殺すことだった・・・。



 ハンナはある意味“狼に育てられた子供”のようなもの。 彼女の住む森はまるで



グリム童話の森。 感情とはなんだかわからない、人の痛みは知らない、誰も信じない、



でも自分の能力に自信満々。 のわりに大切な確認を怠る、誰にも言ってはいけない



ことを容易く口走る、などなどうっかりさんな実態。 まぁ、相手は子供だからってこと



ではあるのだが、飛行機を初めて見て驚きのあまり絶句していた子がのちには誰に



言われるまでもなくインターネット検索をしていることも驚きです(一体どのような



英才教育を? 森で?)。



 まぁ、寓話なのだからリアリティを追及するのもまた間違いなんですが。



   『インディ・ジョーンズ4』のときとはまた

    違う、非情の世界に生きる無機質な女をケイト・ブランシェットが不思議な存在感で

    そこだけリアリティを残す。



 これは、シアーシャ・ローナンとケイト・ブランシェットのための映画だと思えば



なんでもOKであるって感じ?(基本的に男の人たち、いいところなし・・・)



 全然違うんだけど、なんとなく似ているところがあるようなこの二人を合わせ鏡の



ように描くことこそ、ジョー・ライト監督がしたかったことでは。



 音楽をケミカル・ブラザーズが担当していたことに驚き!



 ハンナが学んだ「音楽:音の集まりで美しい響きをつくる」にふさわしいような、とても



美しい旋律ばかりだったのだもの(エンドロールのいちばん最後で、いかにもケミカル・



ブラザーズっぽい曲になるが)。



 ラストが投げっぱなしというか、始まりと終わりでハンナが放つ言葉が一緒ということで



「まとまった感」はあるんだけど、一体その先はどうなるのか・・・と考えると非常に悲しく



重苦しい気持ちになる。



 ここは、素直に<寓話である>と受け入れたほうが観客としても気が楽かも。


posted by かしこん at 03:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月28日

Dear Mr. Palmer その1



 毎日見せていただいているLEMMONさんのブログで先日、ロバート・パーマーが



取り上げられていて・・・歌う若き日の彼の姿を見て、またあたしの中で彼を好きな



気持ちに火がついてしまいました(いや、ずっと常に好きではあるんだけれど、ちょっと



離れる時期もあるではないですか)。



 とりあえず持ってるCDを全部ソニックステージにデータ移行して、パソコン上で



いくらでも聴けるようにした。 そして、それからずっと聴いている。 彼のデビュー



アルバムは1974年リリースの『Sneakin'Sally Through The Alley』だけど、今



聴いても全然古くない。 むしろ、かっこいいのです。



 あたしが彼のことを知ったのは“Addicted To Love〜恋におぼれて”かパワー・ステー



ションだと思うんだけど、当時は洋楽黄金時代でいろんなバンドや歌手の曲を聴くのが



当たり前、好きなものとそれほど好きじゃないものは判断しても、それ以上には踏み



込まなかった。 まだCDを買うことがそれほど一般的ではなかった時代のことです。



 その後・・・大学生になって、バイト先のラジオ局で洋楽のオムニバスアルバム



(プロモーション用?)をもらい、それにロバート・パーマーの“She Makes My Day”が



入っていて・・・聴いてひっくり返った。 これ、“Addicted To Love”と同じ人!? で、



改めて“Addicted To Love”を音だけで聴く。 ・・・かっこよかった。



 それから、あたしのロバート・パーマーのアルバム探しの旅が始まる。



 どこがどう違うのかよくわからないベストアルバムは結構あるのだが、オリジナルが



なかなかない。 中古屋をまわり、輸入盤ワゴンセールの中身を隅から隅まで探し、



ちょっとづつ増やす(それでも、まだ全部手に入ったわけではない)。



 そうこうしているうちに、ロバート・パーマーのニューアルバム発売のお知らせ!



 『Rhythm & Blues』はあたしが唯一、発売日に手に入れたアルバムです(1998年の



ことです)。



 と、思い出話をしているといつまでも終わらないので、あたしの持ってるアルバムを



発表順にご紹介していきます。



   『Sneakin'Sally Through The Alley』(1974)

     どこの不良だよ・・・というジャケットですが。



 デビューアルバムとはいえ、彼はその前からバンドのヴォーカルをしていたので



ソロデビューの形です。 アイランドレコードから。 初期仕様をCD化しただけなので



正直音質はよろしくない(リマスター盤出してほしい・・・)。 ジャンル的には<セカンド



ラインファンク>と呼ばれるもののようです。 確かにファンキーでブラックミュージックの



香りも強く、そのくせ声が若い。 多分、MTV全盛時代の彼を知っている方にとっては



ほとんど別人、と思われるかも。



   『Pressure Drop』(1975)

     このへんから「都会的」をイメージに戦略が練られた模様。

     しかし後年、エロオヤジにランクわけされる結果に。



 いきなり声にどすがききはじめました!、な2作目。 よりファンキーに、打ち込み



サウンドも多用。 そのくせフィラデルフィアサウンド的曲調のものもあり、彼の音楽



レンジはますます広がる。 囁くように歌ってみたり、自由自在にシャウトしたり、



その後の「やりたい放題」の土台はもうできている・・・。



   『Some People Can Do What They Like』(1976)

     ジャケットに女を絡めないと気がすまないらしい・・・。



 ムード歌謡っぽい雰囲気を漂わせつつ、ここでケイジャン要素来襲! ジャマイカン



ぽくもあり、でも基本にはファンクは忘れない。 時代のせいもあるのかもしれない



けれど、妙に余裕があるのよね・・・リゾート音楽っぽいからでしょうか。



 コスモポリタンとして生きた彼そのままに、音楽もまた多国籍性だったり。



   『Double Fun』(1979)

     このジャケットは洒落がきいていて面白いと思う。



 やりたい放題を昇華しつつ、全編軽快なブルーアイドソウルに。 “Every Kinda



People”を一曲目に持ってくるあたりにそんな自信を感じます。 とはいえダンス&



ソウルやファンク、レゲエなどの要素を取り入れまくり、やっぱりやりたい放題なの



でした。 でもあたしはそんな彼が好きだったのだ、とのちに気づくことに。



   『Pride』(1983)

     このあたりからアートワークが芸術路線に。



 なんと共同プロデューサーにルパート・ハインという名が!(のちのち、ダンカン・



シークをプロデュースした人ではないか) テクノになってますよ! ディスコですよ!



 そのわりにどこかほのぼのしてるのは、民族楽器的要素を取り入れているから。



 ですがこのアルバムにはのちのスタンダード“You Are In My System”が入ってるの



ですよね・・・(これでよく商業的すぎるツアーから逃れるためとはいえ「ロックはキライ」



なんてごまかせたなぁ)。



 というわけで、アイランドレコード時代では『Secret』と『Clues』、『Riptide』を持っていない



あたし・・・我ながらどうかと思う(だって見つけられなかったんだもの・・・ネットで買うか)。



 ちなみに『Pressure Drop』と『Double Fun』と『Pride』はその昔、輸入盤一枚500円の



ワゴンセールで発見しました。 そういう幸運もときにはある。



 長くなりますので、以下次回!


posted by かしこん at 04:51| Comment(2) | TrackBack(0) | Music! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月27日

動かない蟻 その1@シアター・ドラマシティ



 大阪公演、楽日夜の回に行ってまいりました。



 詳細はまだ名古屋公演が残っていますので今は控えさせていただきます。



   今回のポスター。 レトロですが・・・

         なんとなく、怪人二十面相がいた頃の時代っぽい?



 そういえば舞台セットの背景にもこれと同じような窓ガラスに光が映るような街並みが



あったなぁ。 “魔都・東京”ってこと?



 今回から、作・演出の方が新しくなりました。 だから大幅にテイストが変わるのかと



思いきや・・・かなりダークでシュール寄りに。 『ウルトラシオシオハイミナール』や



『ゴム脳市場』に通じるものがあるかも(音楽が坂口修さんだったので、三木聡時代を



髣髴とさせてしまうせいもあり)。



 わりと静かに盛り上がっていくネタが多く、たとえば<エスプレッソ王子>並みの



爆発力のあるキャラはなかったかも(斉木さんが「今日はお前は全然ダメだな!」と



言われてたからそのせいかもしれない でも、あの「総理大臣」として再登場してます)。



 最後が最初につながる、といういとうせいこう好みの展開(すでに「来年のゲストに



出るのではないか」という噂が流れている)。 けれどそれは永劫回帰的ではなく、



その間に途方もない時間が流れていることを示している。 一人の人間にとっては



長い時間だが、それでも原発事故の処理はまだまだ終わらない・・・という示唆でも



ありました。 ・・・かなしくて、笑えない。



 エンディングトークで、斉木さん「70までやろう!」宣言。



 「多分おれさぁ、70になったらまた変わると思うんだよ」



 なんでしょう、この根拠なき前向きな発言!



 作・演出家を変えた理由はきたろうさんが「同じことしてるとモチベーションが下がる



から、飽きちゃうんだよね」とのことでしたが、大竹さんは<こんなよれよれの私たち>が



新しいことに挑戦して、それを観客に受け入れてもらえるのかがすごく心配、って感じが



してました。 斉木さんはあまり考えていない。



 やはり、3・11後の世界のことに触れないわけにはいかないんだな〜。



 それでこそ常に時代の今を切り取るシティボーイズなのですが、あたし自身はまだ



笑えるところまで行けていなかったです。



 もうちょっと、消化したい。 もう一回見に行けばよかったな・・・。


posted by かしこん at 04:52| Comment(0) | TrackBack(0) | シティーボーイズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月26日

アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!/THE OTHER GUYS



 こっそりとまたしてもおバカ映画が公開されております。



 『俺たち〜』というタイトルは最近では『ホット・ファズ〜俺たちスーパーポリスメン』



からだと思うけど、『俺たちフィギュアスケーター』以降、ウィル・フェレル主演作の



邦題につけられるお約束になってしまった。 ウィル・フェレルそんなに好きじゃないん



だけど、今回はマーク・ウォールバーグがコンビを組むということで、しかもサミュエル・



L・ジャクソンなどがゲスト出演するということで豪華キャストにつられました。



   事件解決の花形



 NY市警にはハイスミス(サミュエル・L・ジャクソン)とダンソン(ドウェイン・ジョンソン)と



いうスーパー刑事コンビがいて、市民から絶大な人気を誇っていた。 それ以外の刑事は



つまり“アザー・ガイズ:その他大勢”扱い。 しかしテリー(マーク・ウォールバーグ)は



自分もガンガン街に出て悪党を自分の手で逮捕したいと思っているのだが、相棒の



アレン(ウィル・フェレル)はデスクワークに情熱を燃やし現場に出る気はさらさらない。



 なんで俺の人生はこううまくいかないのか・・・、と考えるテリーの前に、ついに絶好の



チャンスが訪れる。



 ナレーションを誰がやってるかよくわからないんだけど、その突き放した感じの喋り方が



絶妙! だからハイスミスとダンソンの退場(?)シーンには爆笑の嵐。



   会話がいつもかみ合わないコンビ



 ウィル・フェレルが抑え目の役なので(暴走したら日本人的感性では手に負えない)、



地団太踏みっぱなしのごときマーク・ウォールバーグが不憫かつ間抜けで、笑えます。



やたらアレンが女性に流し目くらってたり、元カノも妻も美女ばかりで「なんでお前に



こんな・・・なんで俺には・・・」な理不尽に踏みつぶされそうなテリーが楽しいったら



ありゃしない。



 楽しいといえば二人の上司をマイケル・キートンがいい味出し過ぎで好演!



   何故か副業で雑貨屋の店長を・・・何故?



 プリウス乗ってるデカはオカマと呼ばれたり、ゲイをバカにするために踊りを習うなど、



アメリカにおける警官のマッチョ度がよくわかり、けれどそれも行きすぎると笑いになる



という。 男尊女卑というか、それ以前に男同士での序列争いもきついんだろうなぁ、と



考えさせられました。



   悪徳投資家デヴィッド・アーション

           (スティーヴ・クーガン)のおバカぶりも光る。



 ただ、最終的に二人が追いかける経済犯罪の仕組みを二人ともいまいちよくわから



ないままなのでは? というかそのあたりは結構どうでもいい感じなのも逆におバカ



映画としての潔さを感じます(とはいえ観客には伝わるので意外に社会派の面も?)。



 エンドロールで、一人で巨額の報酬を獲る一部のCEOやCOOなどに対する非難を



浴びせ、コツコツ平均賃金以下でがんばる人々へのエールが表明される(だって



トップの報酬が末端社員の700倍って・・・どんだけ暴利むさぼり過ぎなの?)。



 あ、ちょっと社会派だった。



 でもそれがまたうまくストーリーと絡んでない・・・そのへんもまたおバカ映画っぽくて



大変素晴らしい。


posted by かしこん at 04:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月25日

シティ・オブ・ボーンズ/マイクル・コナリー



 ハリー・ボッシュシリーズ8作目。 なんかこれまででいちばん早く読み終わった



かも。 上下巻じゃないのがよかったのか、ハヤカワ慣れしているせいなのか。



 ハリウッド署管内で古い骨が見つかる。 それは人骨、おまけに少年の骨と思われ



殺されて20年はたつという。 致命傷以外にも多くの骨折痕があり、少年は日常的な



虐待にさらされていたと予測される。 怒りを覚えるハリーと相棒のジェリーは捜査に



取り掛かるが・・・という話。



   表紙もなんだか叙情的に。



 実は、事件だけを取り上げるとそう複雑ではない。



 問題は捜査が順調にいかないこと。 最初に捜査方針が決まってしまえばそれを



途中から変えることが難しいという警察組織の問題と、悪い評判の多いロス市警が



これ以上の醜聞を恐れて自分たちの都合のよくないことには蓋をしようとすること。



私欲のためにマスコミに情報をリークする警官もいて、入った邪魔は予想もしない



悲劇を呼ぶ。 それはいったい誰が償うのか・・・というようなテーマになっている



ような気がする。



 そして前作でテリー・マッケイレブに「そういえばハリーは離婚したらしいな」と



発言させてさらっと流されていたが、今作ではハリーはいきなりパトロール警官に



一目惚れ?! 立ち直るの早すぎないか! というか自分が生まれた意味・生きて



いる意味をずっと探しているような男が何故すぐに次々女をつくる?! ハリーの



恋愛観がわからん・・・これで今後の作品にまたエレノアが出てきたらどうなるんだ、と



はらはら。 ハリーとは恋愛関係にならないほうが身のためだぞ!、と忠告したい



(その点、一切踏み込まない元部下のキズミン・ライダーは賢いと思うのだ)。



 自分のために子供を捨てた母親を心の中で軽蔑しながらもそれを態度にあらわす



ことをしないハリー・ボッシュは、人間という存在の不条理性を理解したかのようだ。



でも、自分のことは許せないらしい。



 衝撃的ともいえるラストですが、多分リアルタイムで読んでいたら「なにっ!」っと



なったと思うんだけど、後追い&ブランクなしのためその決断は必然のように感じて



しまいました(むしろ遅いくらいだと)。 むしろ、巻を重ねるごとにハリー・ボッシュと



市警の副本部長アーヴィングとの関係がどんどん悪化していくのがずっと違和感。



かつて、アーヴィングはハリーのことを認めたのではなかったのか? 人間関係と



仕事の上下関係は違うのか(というか人間として好きになれない相手でも仕事上の



関係であればある程度は割り切れるのではないのか、でもある程度までだけどね)。



 仕事ができれば関係ないと思える部分だろうけど、その仕事が目指す先が違うと



(ハリーは事件の解決が優先、アーヴィングは組織の秩序が優先)、やっぱり



わかり合えないものなんですかね。



 は〜、9作目を図書館から借りてこなければ〜。


posted by かしこん at 05:20| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月24日

未来を生きる君たちへ/HAEVNEN(IN A BETTER WORLD)



 再びデンマーク映画。 前回のアメリカゴールデングローブ・アカデミー賞外国語



映画賞受賞作。 配給にWOWOWも噛んでいるのでそのうちやるだろうなぁと思い



つつ、見たかったのでシネリーブル神戸へ。



   悲しみを越えたその先で どんな世界を見るのだろう



 医師のアントン(ミカエル・ペルスブラント)はアフリカの難民キャンプで医療に



従事する。 母親をがんで失った少年クリスチャン(ヴィリアム・ユンク・ニールセン)は



父親とともに祖母の家があるデンマークに引っ越してきたが、彼の心の中には怒りが



くすぶっている。 まったく関連のない二人の描写を交錯させながら、物語はいつしか



“二人の関わり”へと結びつく。



 アントンの長男エリアス(マークス・リーゴード)は学校でいじめられているが、



クリスチャンが同じ学校に転校してきて隣の席に座ることに。 エリアスの受けている



いじめが陰湿かつ執拗であり犯罪要素もありそうな中で、「よろしく」とお互いを笑顔で



見かわすエリアスとクリスチャン。 そのシーンだけで、あたしの目からぶわーっと



厚みのある涙が。 いちばん心揺さぶられた場面です!



 実はクリスチャン、母親の病状を正しく教えられてなかったようでそのうち治るのだと



信じていただけに実は手の施しようのない状態だったことに怒りが渦を巻いている。



母を助けられなかったこと、真実を知らされなかったこと。 だからエリアスをいじめる



やつらにも容赦なく対応し、「やられる前にやるんだ!」とばかりに荒っぽい手で



いじめてるやつらをやっつける。



 あたし、この考え方は否定はしないが(えらそうに手下にやらせて態度がでかいやつ



ほどいざ自分が殴られたり痛い目に遭えばひーひー泣きだすやつが多いからである)、



うまくやらないとまた仕返しされるし、仕返しする気がなくなるほどやっつければ親や



教師の介入が来る。 かといって殺したら警察に調べられるし、まったくめんどくさい



のである。 大人は簡単に「相手にするな」などというが、おとなしくしているからこそ



いじめる側は調子に乗るのだ。 そして子供は大人ではないので、そういう相手と



うまく付き合うなんて器用なこと、できはしないのだ。



   それでも子供たちとの時間を持ち、語りかけるアントン。



 だが、と思う。 アントンが難民キャンプで遭遇する理不尽な、不条理な暴力を



引き合いに出して考えなければならないほど、デンマークでもまた暴力は蔓延して



いるのか? そこまで極端なものと比較しなければ自分たちを取り囲む理不尽さに



説明をつけることができないのか? <暴力の連鎖を止めるのは赦しだけ>という



ことはわかるが、明らかにそれでは通じない相手に対してはどうしたらいいのか。



 エリアスとクリスチャンにあたしは同調しつつ「もっとうまくやれよ!」と応援したくなり、



彼らを理解しようとしない学校側の茶番劇に呆れて口が閉じない。



 そしてエリアスがついに発したSOSに気づくどころか自分のことで精いっぱいの



アントンに、失望する。 そう、大人は解決してくれない。 だったら自分たちで解決して



何が悪い?、と考えてしまうのは責められないと思う。 ただ彼らはその行動の先に



何が待っているか想像が足りなかっただけ。 そのあとを支えるのは大人の役割。



 なんとも、感情の持っていきがたい映画である。



 アフリカの描き方はあまりに類型的すぎる感じだし、エリアスとクリスチャンが通う



学校の対応も紋切型である。 二人の少年とその父親に絞ればまた変わってくる



ような気もするし、“理不尽な暴力”を振るう側も記号化されてしまって誰でもよいような。



 それでも心を動かされるのは、エリアスとクリスチャンの二人の存在故に、である!



 あたしはそれに、完敗(泣いちゃった・・・)。



 その年のデンマーク映画界ではこの映画よりも『光のほうへ』のほうが評価が高かった



ようだし、映画としての完成度もあたしは『光のほうへ』が上だと思う。 けれどこの映画を



デンマーク代表としてアメリカのアカデミー賞に出したってことが、デンマーク映画界の



したたかさというかアメリカ的映画の評価をよくわかっている感じがしてすごいと思った



(実際、外国語映画賞獲ってるし。 スサンネ・ビア監督のハリウッドでの評価がすでに



高いせいもあるだろうが)。 スケール大きい感じがしますし。



 ひどい状況を描きながらも最後には救いが見える。 甘いと言われようが、そんな



希望があると信じたいではないか。


posted by かしこん at 05:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月23日

日輪の遺産



 すみません、例によって堺雅人目当てです!



 実は浅田次郎ってちょっとあざとい感じがしてあたしは微妙なんですが・・・まぁ



そこは映画的にどう料理されるのかを楽しむことに。



 冒頭、穏やかな卒業式の光景に“2011年3月”と出る。 え、これって3・11前?



後? それでかなり印象が変わってしまうが・・・どうなんだろう(実際撮影されたのは



昨年なので深い意味なく決められた年号なのだと思うが)。 そしてあまりの地味さ



加減に「低予算か?!」とはらはらさせられる。 しかも「“歴史のIF”と呼ぶには荒唐



無稽すぎないか!?」とこれまたはらはらしてしまったのであった。



 実はツッコミどころが結構あります。



   いつか、この国が生まれかわるために



 だが、物語が進むにつれて出演者の熱演にこちらも徐々に感化され、いつしか



のめりこんでいる自分がいた。



 終戦直前、日本の敗戦は避けられないと悟った人々がこの先の日本のための資金を



ため込んでおかなければ、とマッカーサーの財宝に目をつける。 <マッカーサーの



財宝の隠匿>という密命を下されたのは帝国陸軍の真柴少佐(堺雅人)・大蔵省からの



出向の小泉主計中尉(福士誠治)・たたき上げの軍人望月曹長(中村獅堂)。



   意外にこの三人、いいコンビである。



 そして極秘任務の実行に選ばれたのは、疑うことを知らない純真無垢な少女たちで



あった。 軍の内部にも作戦を邪魔しようと思う者もいるかもしれず、誰も信じられない・



誰に助けを求めたらいいのかわからない孤独な戦いもまた同時進行。



 むしろ、主役は八千草薫では・・・と思ったり、いやいや、中村獅童おいしすぎでは・・・と



はらはらしたり、福士誠治くんこんないい役者とは思わなかったよ!、と開眼したり、



ユースケ・サンタマリアはバラエティの印象はよくないのだがなんでちゃんと役者を



やろうと思うとちゃんとできるのか!(失礼な話である)



   野口先生(ユースケ)は進歩的な

       考え方を持ち、女学生にその知識を分け隔てなく伝えようとしている。



 いやいや、真の主役は女学生たちだよ!、とうるうる泣いてみたり(少女たちの



リーダー格、森迫永依さんがまたうまいというか、他の子たちもよくいまどき昭和の



似合う女の子を探してきたなぁ、とニヤリ)。



 映画の鍵を握るのは8月15日をめぐる数日間なのだけれど、現在からの視点が



長い年月を浮き彫りにし、自分の生まれるはるか前の時代について否応なく思いを



巡らせてしまう。 他の映画に喰われて興行成績は苦戦してしまったようですが



(神戸ではそろそろ終わります)、そして観客の年齢層も高いですが、中・高校生



ぐらいの年齢の人にむしろ見てもらいたいかも・・・(しかしそういう人たちは『神様の



カルテ』を見に行ってるのよね・・・)。



 そこまでの犠牲を払って、守らなければならないものなどあるのか?、と左翼よりは



右翼のほうがずっとましだと思うあたしですらも、平和主義・個人的人権の尊重は



根深く心に張っている。 けれど、そこまでしても守りたいものがあった人たちを否定



できないし、時代のせいにもしてはいけないと思う。



   彼女たちの鉢巻きに書かれている言葉は

    「七生報国」・・・七度生まれ変わってもお国のために尽くす、という意味。

    なんだかもう、それだけで泣けてくる・・・。



 ただミッキー・カーティスと中野裕太のシーンは必要だったのか・・・(すっごく顔を



見たことがあるのだが、俳優じゃないこの人は一体誰?、とずっと気になっていて



エンディングでひっくり返った。 『コスモポップスベストテン』の人だ!)。 そのへんが



低予算と感じてしまった、いまいちメジャーになり切れてない感がありました。



 ちょっと残念。



 堺雅人ファンとしては、彼は二番手・三番手の役どころでいちばんパワーを発揮



する役者なので、人気があるからといってあまり彼を主役に使っていろんなイメージを



消耗させないでほしい、というのが本音です。 実際、この映画ではシーンごとに主役が



違うというか、それぞれの立場の人たちが輝く瞬間があるので、一概に彼が主役という



のはちょっと違う部分も感じる。 しかし、物語の中で最初から最後まで(それこそ



描かれていないが彼が亡くなるまで)真柴少佐は“謎を秘めた人物”であり、その謎故に



他の登場人物とは違う何かを持っていて、下手するととっちらかりがちなこの映画を



スパイスのように引き締める存在になり得ている。 そこがもしかしたら監督が堺雅人を



キャスティングした理由なのかな、と感じた。 織田裕二のような「オレがスターだ!」



ばりの主役オーラ全開の役者も貴重ではありますが、自分が表に出すぎないけど



あとから振り返ってみればこの人がまとめてたんだな、という主役もあるってことよね、と



あらためて考えてみたり。



   頭脳派として苦悩する軍人・・・でも最後まで責任は取る。



 次回作『ツレがウツになりまして』は同じく佐々部監督と堺雅人が組んでいるわけで



(主役はあくまで宮崎あおいでしょうが)・・・気に入られたのね。 スケジュールきついのに



続けて仕事できるとは、それはそれで何かの縁もあるのでしょう(原田眞人監督もまた



彼と仕事をするのを希望しているが、スケジュールが合わないと言っていたし)。



 すべてはタイミングだ。 映画も、人生も、歴史も。


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2011年09月22日

プラムプディングが慌てている/ジョアン・フルーク



 だいたい年に一度のお楽しみ、<お菓子探偵ハンナ>シリーズも12作目ですよ。



 一年一冊のペースで刊行されているものの、作中の時間はその通りとは思えず



微妙に“イソノ界”(『サザエさん』のように季節の風物詩としての時間は流れるが、



登場人物は年をとらない)? それともシリーズスタート時では30歳そこそこだった



主人公の年齢を描写する場面がないのは都合の悪いことをなかったことにする



ためか?(そうじゃなきゃシリーズをいつまでも続けられないよなぁ。 一応、事件と



事件の間は三ヶ月とか六ヶ月ぐらいあいている感じはあるけど)



 まぁ、そんなことを気にしてたらコージーミステリは楽しめないのですが。



   相変わらず可愛いのか怖いのかわからん絵・・・。



 ミネソタ州の田舎町、レイク・エデン。 クリスマスを間近に控えて町中は浮足立って



いるかのようで、ハンナが経営する<クッキー・ジャー>も大いそがし。 しかし、例に



よってハンナは(今回はノーマンも一緒に)死体を発見してしまう。



 最近の作品はミステリとして弱いなぁ、と感じていましたが作者もそう思っていたのか?



序章から殺人事件発生。 ハンナがそれを発見するんだなぁと読者にわからせておき



ながら話は前日に戻り、ハンナが実際に死体を発見するのはなんと200ページ以上



過ぎてから! それまではレイク・エデンの住人たちの会話と関係で話が進むのだ



(勿論、事件への伏線も織り込まれているわけですが)。



 初めの頃は地元に帰ってきて自分のお店を開くことになっても、子供の頃からウマの



合わない母親や妹との関係に苦慮していたハンナ、「自分の意志を通そうと逆らったり



母親を説得しようとしても時間の無駄、うまくあしらっておいた方が面倒がない」と、



いつしか悟りに入って「プライバシーのない田舎暮らし」に適応していく様子を読者は



応援していく話なのかなぁ、と思う(自分だったらハンナのようにうまくやれないと思う



けど、それでも「自立していくのだ」という気持ちを忘れない彼女の生活はある種の



雛型であるし)。 これまでの過程で妹アンドリアとは和解したし、母親との関係も一応



良好。 しかしそれもこれもハンナが心を広く持とうとしているからである。



 結局のところ、住人たちのサイドストーリーによって支えられている部分が大きいし、



知り合いの近況報告を読むような気分になってるもんね。 だから事件のために新しく



出てくる人たちはなんらかの意味を担っているということで・・・。



 あと欠かせないのはハンナの愛猫モシェの存在。 一人と一匹で住んでいる関係性、



自分を人間だと思っているらしきモシェとの日々は楽しいことばかりではない・むしろ



厄介事のほうが多いかも。 それでも消えない、むしろ深まる愛情、というような、動物を



飼っている者にとっては絶妙なリアリティがいい感じ。



 最近いいところのない(生来の自分本位さが見た目のハンサム加減だけではカバー



しきれなくなってきた)マイクと、人のよさ丸出しだが常にハンナを気遣うノーマンでは



勝負あったようなもんだろうと思うんだけど、ハンナは決めません。 今回、ハンナが



地元に戻ってこざるを得なくなった状況をかつて引き起こした卑怯男が何故かレイク・



エデンに・・・というシリーズ中ありえないクリフハンガーで次の本へと引っ張ります。



 ネタに詰まったのか・・・それともハンナがノーマンとマイクのどちらを選ぶのか決断を



迫るための布石なのか。



 まんまと、次巻を待っております。


posted by かしこん at 03:36| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月21日

レインコートもしくはカッパを手に入れるべき?



 20日の朝、ものすごい雨だった。 あまりの雨音のすごさに目が覚めるほどで



ある。 台風、来るの早くないか?、と思い、来る前にこれだけの雨を連れてくる



とは油断できない・・・秋雨前線がとりこまれたか?



 被害が拡大しなければいいが、と窓から地面を見下ろすと・・・まず雨が強すぎて



何がなんだかよく見えない。 どうも、舗装道路が微妙に冠水?



 これはどんな靴を履いても濡れるわ、と考えたあたし、カバンの中にタオルと靴下を



入れ、裸足にクロックスで外出。 服もどうせ濡れるから、パンツの裾は高めに折り



曲げるけど濡れてもわかりにくいネイビー〜ダークブルーの服を選ぶ。



 そして、想像以上にがっちり濡れた・・・空調にあたって寒い思いをした。



 今朝はどうなのだろうか・・・。



 雨の気配が忍び寄るが、風のほうがやばそう。



 こういうとき、雨合羽があれば便利なのはわかるのだが・・・脱いだそれを干す



場所が外出先にはない。 たたんで袋に入れるしかないよなぁ。 そして帰りにまた



それを着るのか・・・なんかあまりうれしくない。



 台風やら大雨が降るたびいつも考えるが・・・行動に移さないってことはメリットよりも



デメリットの方が重たいと考えているからだろう。 実際使ってみたら、また違うのかも



しれませんが。


posted by かしこん at 08:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記のようなもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月20日

探偵はBARにいる



 この映画を見始めて、なんだかやたらと“見覚えのある感”。



 主な舞台はススキノだから北海道とはいえそれほど雪は多くない(でもちょっと



郊外に行ったらそれはもうすごいことに)。 でも気温は低いから雪の降り方が



北国のもの。 でも見覚えというのはそういうことではなくて、カット割りとか音楽の



入り方とか・・・すごく見たことがある感じ。 エンディングでスタッフがほとんど



『相棒』と丸かぶりなことに気づいて、納得!(家に帰ってチラシを見たら、“『相棒』の



スタッフが送る・・・”と書いてあったよ) ま、結局あたしは大泉さんにつられて見て



しまったわけなんですが(原作はハヤカワだからなじみがあるし)。



   何かあったら、電話してくれ



 ススキノのあるバーに居座り、そこの電話番号を名刺に刷っている<探偵>



(大泉洋)は普段は飲んだくれているが、依頼があればすぐさま運転手の高田



(松田龍平)とともに調査に乗り出す。 ある日、“コンドウキョウコ”を名乗る謎の



女から依頼が入り・・・という話。



 現代に設定は変更されていますが、大変古臭く、泥臭い。 ススキノだからで



あろうか? 明らかに80年代、という風情(原作の設定は80年代だったような



記憶あり)。 かなりコメディ色が強く、探偵の<一人称:俺>のナレーションは



非常に『バーン・ノーティス〜元スパイの逆襲』の日本語吹替版とかなり似た雰囲気



(だからキライではないんだけど)。 最後までこのコメディ調が失われなければ



もっと好きだったんだけど、探偵さんは途中から熱血に走ったり必死になり過ぎたり、



ハードボイルドなことを思い出したようにかっこつけたりするものの(でも探偵さんの



服のセンスはかっこいい)、そのくせ肝心な事件の真相には気づかない・・・観客は



すでに気づいているので、「なにやってんだ、お前!」と思ってしまうのだ。 まぁ、彼は



名探偵ではなくただの探偵だということなんでしょうかねぇ。



 もしくは、一緒になって騙されるのがこの映画の醍醐味かも。



   光岡自動車のヴィートがキュート過ぎ。



 探偵の相棒っぽい高田君が非常にいい味を出してますが、なんだかんだと探偵さんの



単独行動も多いので高田くんは相棒というより便利な人に見えてしまい、どうせなら



もっと見せ場をあげなよ・・・と思ってしまう(どうも続編つくる気満々みたいなので、



高田君の出番はそれから増えていくのでしょうか)。



 悪役というか悪い側の手先、みたいなピアスだらけの男を高嶋政伸が非常に気持ち



悪く、かつ楽しそうに演じていて、これまでいい人ばかり演じていたのは実はストレス



だったのか?、と感じさせるほど(『ジェネラル・ルージュの凱旋』でもあやしげな役が



似合っていたし)。 「生まれたときからヤクザ顔」と探偵に言われる松重豊さんに



すっかり悪徳弁護士な中村育二さん、懲りない性癖の新聞記者田口トモロヲ、



キャバレーの客引きマギー(『相棒』でも北海道出身のキャラ演じたのでは・・・



薫ちゃんに諭され真面目な仕事に就いたはずでは、とつい思ったり)など、脇を支える



役者の方々もかなりオールスターキャストであたし好みではあるんですが、その



バイオレンス描写はそこまで必要なの?、という疑問が(というかそこまで殴られたり



蹴られたりしてたらそれだけの怪我ではすまないのでは? タランティーノへの



オマージュとも考えられますが)。



 全然警察が動いている気配が感じられないのも、警察は無能もしくはススキノは



無法地帯という感じに受け取れてやな感じ。 そうそう、探偵がヤバいと感じてある家に



向かったら時すでに遅くその家の人は殺されていた・・・の場面では憤った探偵は



家の中のものに八つ当たりしまくり。 「犯行現場を荒らすなー!」と心の中で叫んだ



あたし(しかも素手でやっているから指紋残るではないか。 何故警察は探偵を調べに



来ないのか?)。 そのようなリアリティを求めてはいけないんでしょうけど、だったら



何故設定を現在にする必要があるのか・・・。



 ミステリとしては正直、薄味です。 バイオレンス強めの“古臭いハードボイルド・



コメディ”として割り切るのならシリーズ化はありかもしれませんが・・・もっとコメディを



強くした方が大泉洋の地で行ってると思わせられて楽しいかも(だからこそ「もっと速度、



あげてくれーっ!」の絶叫が悲しく響く)。 



 役者としての彼の技量は『アフタースクール』で証明済みだから、ここはあえて地だと



思わせたほうがいいんじゃない?


posted by かしこん at 01:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月19日

生リンゴワッフル@チャンドラ



 先日、わりとよく行くデパートで東北物産展があった。



 あたしのお目当ては、今回初登場という青森の『チャンドラ』の生リンゴワッフル。



ふじと紅玉の両方を使ってますという触れ込み。



   一個¥180−



 リンゴはしっかりソテーしたのと軽くソテーしたのと違う種類が入ってる。



 甘すぎもせず、酸味もほどほど、なにより生地が軽めで、リンゴのさわやかな香りが



いい感じで、ぺろりと一枚食べてしまいました。 熱を入れたリンゴにはシナモンという



のが定番ですが、あたしはシナモンがいささか苦手なのと、新鮮かついい味のリンゴ



ならばシナモンは必要ない!、と考えるあたしにぴったりのお味でございました。



 実は二枚買った・・・二枚目も、おいしくいただきました。



 地元の妹に「チャンドラって知ってる?」と尋ねれば、「チャンドラは有名よ!」という



返事が。 かつての洋菓子の老舗『サンドリオン』のあとに入ったお店だそうだ・・・。



 「こっちでも売ってるかなぁ?」と聞いてくる妹。



 いや、現地で人気の商品だからこそ百貨店の催事に連れてこられるのではないの



だろうか。 まぁ、生リンゴを使っているから、発売時期は限られるかもしれないが。



 「今度、探してみる〜」、とのこと。 あたしも、もっと買ったらよかったかしら。


posted by かしこん at 04:31| Comment(0) | TrackBack(0) | ごはん・お茶の時間 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月18日

夜より暗き闇/マイクル・コナリー



 順調に、ハリー・ボッシュシリーズ7作目を読了。



 しかしこれはいささか趣が異なり、シリーズ的には番外編的な位置づけか?



ここから版元が講談社になっています(しかし8作目『シティ・オブ・ボーンズ』は



ハヤカワ文庫から、しかもこの本よりも先に出版されたらしい。 当時、各出版社で



版権の争奪戦でもあったのか?)。



   今回初めて、

                       ヒエロニムス・ボッシュの絵を表紙に使用。



 実は、今回の主な語り手(というか視点人物)は元FBIプロファイラーのテリー・



マッケイレブ。 彼は同じくコナリー著の『わが心臓の痛み』の主人公でありますが、



あたしは未読。 それが原作の映画『ブラッドワーク』は見ています(主演・監督は



クリント・イーストウッド)。 だからバディが出てきたときは本を取り落としそうに



なった・・・原作と映画の結末は違うのか・・・唖然。



 まぁ、それはこの話には関係ないけど。



 引退したテリーのもとに、以前のFBIの同僚がプロファイリングを依頼してくる。



平和な生活を乱されたくない、と断るテリーだったがこの仕事は自分の天職だという



感覚が戻ってきてしまい、自分を偽れない。 調査をするうちにこの件のカギを握る



のはハリー・ボッシュだと考えるようになるが、ハリーは別の事件の裁判で全米の



注目を集めていた、という話。



 これまではハリーの視点で物語が動いていたが、今回はテリーから見たボッシュの



姿が描かれている、という点で番外編的感覚をおぼえる(別作品『ザ・ポエット』の



主人公の新聞記者ジャック・マカヴォイもいいとこなしで登場するし、オールスター



サービス作品?)。 内容としてはかなり戦慄を感じさせるものですが(ボッシュの



心の中の闇がこんなにも深いと感じさせられたり)、事件としてはちょっとご都合



主義というか、ちょっと不確定要素に頼り過ぎではないかという部分もありで「ううむ



・・・」となってしまった。



 が、いちばん驚いたのは画家ヒエロニムス・ボッシュの絵がものすごく邪悪なものを



描いている、と解釈されている点。 あたしは結構ユーモラスというか、グロテスクでは



あるものの面白い絵だと思っていたので、あたかもこの絵の存在自体が見た人の中に



ある“悪”を呼び起こさせるみたいな表現には首をひねった。 それは時代のせい?



アメリカ的解釈ではそうなるということ?



 で、引き続き『シティ・オブ・ボーンズ』にも入ってますが、版元が変われば翻訳の



調子も変わるのか?、と思ってしまうほど端正な印象。 それともシリーズ自体が



『夜より暗き闇』でまた一区切り、次から新しい展開に移るということなのか。



 でも9作目からまた講談社に戻るのよね・・・(その後はずっと講談社から刊行)。



 よくわからないわ〜。


posted by かしこん at 05:26| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月17日

蜂蜜/BAL



 『卵』・『ミルク』に続く≪ユスフ三部作にして完結編≫だそうですが・・・すみません、



他の二作見ていません(シネリーブル神戸で『卵』と『ミルク』をモーニングショー限定



公開してくれていましたが、これ見て「絶対見たい!」とは思わなかったので・・・スルー



しちゃいました)。



 舞台はトルコ。 深い森の近くに両親と住むユスフは6歳。 ユスフの家では猛禽類



(多分大きさからみてノスリ類)を放し飼いしているのだがそれがまずかわいくて、



あたしはまず盛り上がる。 父は森でハチミツをとり、母は茶畑で葉を摘む仕事をして



いるようだ。



   さよならは、心の奥にしまい込んだ。

                          いつか蜂蜜が甘く香るその日まで―



 森の風景、小川の流れる音、風に揺れる葉、降りしきる雨・・・なんと全編BGMがなく、



自然の音だけで構成。 こりゃ油断したら寝るかもな・・・と危機感を覚えましたが、



なんとか大丈夫でした。



 予告では「父親が姿を消したことでユスフは言葉を失い・・・」みたいなことが表現されて



いましたが、正確には父親がいるときからユスフは父親としか直接会話していない。



学校で教科書を読むのもつっかえつっかえ(もしかして文字をしっかり読めない?



それとも吃音? しかし父親と小声で話すときは不自由はない)。 母親に声を掛け



られても返事はしていないし、やたらお父さん子だな!、という印象。 まぁ、あたし自身



もともと人見知りだし、そこはユスフの繊細さのあらわれということだろうと好意的に見て



いたならば・・・ユスフ、クラスの隣の少年にとんでもないことをする!



 これで、あたしのユスフに対する同情心は吹き飛びました。 甘ったれるな、ボケ!



   母がユスフを膝にのせて語りかける

    シーンは、『小椅子の聖母』を連想させる。 しかしユスフはノーリアクションだが!



 まぁ、しばらくしてユスフは自分が級友にしたことを悪かったと反省するようだが、



級友がどう立ち直ったのかは描かれない。 子供同士ではよくあることと言われれば



それまでだが、あたしはそれをサラッと流すことができない。 だから、ユスフの青年期・



壮年期を描いた『卵』・『ミルク』を見たいとは思わなかったのだろう。 こんなやつが



繊細な大人になっている姿を見たくなかったというか。 自分の性格の悪さ、実感。



   父ははちみつを探しに森に入るが・・・

    ミツバチが姿を消し別の場所に巣を設置しなければならない決断を迫られる。



 前半で、まだミツバチがいる巣箱を開けたときに出てくる蜂がやたら黒くてビビる。



ニホンミツバチって部分黄色いからそれと同じ感覚で見てしまい、映像的にはでっかい



ハエと区別がつかなかった。 『みつばちハッチ』の影響でしょうが、ミツバチはかわいい



ものと思っていると大いに裏切られる・・・そして世界は広いのだなぁと実感する。



 バケツにたまった水面に映る月をつかもうとしてユスフが手を入れると、水面が



乱れて月は消える。 小さな波が次第に収まっていくにつれまた月が現れるけれど、



まるで乱反射されたような月のかけらが波打つ様子がとても美しい。



 この映画でいちばん美しい場面かも。



 終盤、森をさまようユスフを映すシーンはほとんどイメージビデオの世界。



 それを見ながら、あたしの心もどこかに飛んでいろいろなもの思いに沈んでいった。



 見る人の<個人的な記憶>を掘り起こしてくる映画なのかもしれない。


posted by かしこん at 15:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月16日

『スマリの森』と遅れてきた中秋の名月

 『スマリの森』を買いに行く。
 手に取った瞬間(本屋の平台に並んでいたので)、「薄っ!」と驚愕する。
 これでは花とゆめコミックスの内容そのままではないか・・・そのくせ¥590+税か・・・書き下ろし新作ページはあるものの、なんかかなしい。 『雷鳥さんシリーズ』も入れてほしかったのだが・・・。

  スマリの森.jpg 北海道の話。 スマリはアルビノのキタキツネ。
 白い姿が目立つため、スマリは森に住んでいるのだが、年の離れた弟三匹(アトイ・トマリ・カタム)がちょくちょく遊びに来ては騒ぎを起こす。 改めて考えればスマリは諦観の入った『なごみクラブ』のマネージャーのようなキャラかも・・・。
 北海道の大地に住む動物たちはお互い喋れるが、同種族だけがヒト化して表現されている。 だから人間の視点が入れば彼らは普通のキタキツネに映る。 動物の擬人化があまり得意ではないあたしですが、この距離感はありだと思ってしまうのよね・・・。
 人間と野生動物との共生は多分うまくいかないだろうけど、個体例としてうまくいくことはあっても全体とは難しい。 それは人間が自然に逆らって生きてるからで、彼らに罪はない。 それでも、つい人間は野生動物との共存を夢見てしまう・・・その夢の結果がこの物語、という気がしてきた。
 とはいえ夢だからといってこの世界が甘々だということはなく、スマリには「危ない物には近づかないって事は誰でも知ってるのにあいつらは近づいていく変な動物なんだから」と人間は言われてしまう・・・ごもっとも。 文明の利器と引き換えに、野生の勘を忘れてしまいましたよ。
 “イタチの親分さん”(ほんとは野生化したミンク)がいい味出してます。

 帰り道、「あー、今日も月が丸いなー」と空を見上げて、気づく。
 もしや、中秋の名月、もう過ぎた?!
 8月がばたばたといそがしくて、「9月になれば暇になるから〜」と自分をごまかしてどうにか8月を乗り切ったのに、9月に入っても一向に暇にならないから(その上、暑いし)、そういうこと忘れてたよ!
 なんだか、ちょっと損した気分になった。

ラベル:マンガ
posted by かしこん at 04:17| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする