2011年07月22日

デンデラ

 「これは、ロケ地は庄内映画村だね!」とわかってちょっとうれしくなる。
 一面の雪風景、それだけでどこか心がなごみます〜(まぁ、実際はなごんでなんかいられないほど寒いのもわかっていますが)。
 東映は作品によって「いつでも1000円キャンペーン」を始めていてこの映画もそれに該当するのですが、そのせいなのか往年の大女優たちのファンだからなのか、客席はシニアと思しき方々ばかり・・・うーん、幅広い年齢層に見てもらいたいからこそのキャンペーンだろうに、意味はあるのか(シニアはいつでも1000円だし、その回の客はあたしが最年少だった感じ)。
 実はあたし、恥ずかしながら『楢山節考』を見ておりません(あらすじはなんとなく知っている程度)。 でも直接の続編というわけではないから、と思ったんだけど。

  デンデラポスター.JPG 姥捨山には、続きがあった。

 物語的にはどこかわからないが、雪の多い極寒の山村では70歳を迎えると老人は山に捨てられる、という習慣が続いていた。 斎藤カユ(浅丘ルリ子)は70歳になり、自ら進んで姥捨ての地に赴く。 それが極楽浄土へいける約束だと信じて。
 カラスなどが集まってきてカユをつつくが、覚悟を決めて目を閉じるカユ。 しかし彼女が目を覚ますと、そこには既に死んだはずの、先に“姥捨て”された村の先輩老女たちがいた。 なんと、100歳になる三ツ星メイ(草笛光子)がリーダーとなり、老女たちは山の裏側に『デンデラ』という共同体をつくり上げていたのだった。
 そして自分たちを厄介者払いした村人たちへの復讐心を胸にたくましく生き続けていたのだった・・・という話。
 ベテラン女優たちがノーメイク、もしくはメイクダウンで挑む意欲作!、ということで期待していたわけなんだけど・・・あまりよくわからないんだけど、そういう時代、地方の農民に名字とかあるのかな?、という疑問が頭をよぎった。 という感じで、いろいろ疑問がよぎる内容だったのだが、こういう話にリアリティを求めてはいけないんだな、きっと(と、自分を納得させてみる)。
 それよりも、ノーメイクだというのにおめめぱっちりの浅丘ルリ子に驚愕。 すでにアイブロウ入ってるみたい・・・素顔がお人形さんのようなんだろうなぁ、そりゃ子供時代に甘粕氏にスカウトされるわ、と妙なところで納得。
 負けてないのは草笛光子さんである。 なにしろ『デンデラ』の創始者という設定、最初にひとりで生き残っていく描写はすさまじい(「女を捨てている」とかではなく「人としてどうよ」の感じ)。 ほんとに“汚れてる感”たっぷりで、女優魂を見せつけていただきました。 是非是非助演女優賞にノミネートしていただきたい。 とはいえエンドロール見るまでほとんどの女優さんは「あの人は誰?」・「えっ、こんな人も出てたの?」状態でしたが。

  デンデラ1.jpg もう、誰が誰やら・・・。

 カユが参加し、50人になった<デンデラ>。
 共同体とはいえ思想(?)対立はあり、メイを筆頭とする“村に復讐を目的とする武闘派”(なにしろ槍を持って突き刺す訓練などしている)と、隻眼の椎名マサリ(倍賞美津子)が主な“復讐など忘れて、せっかくデンデラがあるのだからここで静かに暮らそうという穏健派”にわかれている(でも穏健派は少数なので「いくじなし」と呼ばれている)。 50人でも考え方がまとまらないのか、と思いつつ、ある意味明るい未来のない(最年少が70歳ですから)デンデラでは復讐という形でも目的意識を持つことが生を先へつなげる力になるのか、これって高齢化社会の進む日本の縮図だね!、と考える(ちなみに当然、70歳以上のジジイも捨てられる運命だが、男性全般に深い恨みを持つメイは男性をデンデラに迎えることはなく、見殺しである。 長年の女性差別への復讐と思われます)。
 そう思うと子供が生まれるって希望なんだな・・・だからこそ福島や東北・北関東の子供たちの健康を守ることは国として急務なのに、今の政府は何やってるんだ!、と怒りに打ち震えるのであった(映画とは関係ありません)。
 そんな中、カユは村から来たばかりだし姥捨てにも納得してきたので復讐心などないし、新参者故「小娘」呼ばわりだし、むしろ助けられたことで「極楽浄土に行けなくなったじゃないか」と憤慨していたのだが・・・そんなことが一変してしまう事態が起こる。
 いきなり、『羆嵐』状態になるのである。 いやー、この展開にはびっくり。
 多分本州なので、ヒグマではない。 見た目、ツキノワグマに似ているが違う。
 どんなクマだよ!(毛は黒いのだが、凶暴性はヒグマやグリズリー並みである)。
 仲間をクマに殺され、残された自分たちの身を守るために自衛するデンデラ。
 “今そこにある危機”の前では表面上の対立など不要。 一丸となってクマと戦う道を選ぶのだが!
 というわけで、生きることをあきらめたカユがもう一度、自分の意志で生きることを選択する、という話だと思うのですが・・・いかんせん、クマが出現してからはB級ホラーの勢いで(結構残虐描写あり。 R指定だった?)。
 しかも死んでいくばーさまがみな「デンデラ〜」と叫んだり呟いたりしながら倒れていくので「これはギャグか?!」と。 多分、B級ホラーに免疫のないお客様がた、リアクションに大変お困りの気配が伝わってきました。
 そのアンバランス感がもう少しうまく処理されれば、「女は強し」というか、「死んだ気になったらいくらでも生きられる」という生命賛歌になったと思うんだけど・・・(でも少子高齢化が大前提の日本では希望はあるのだろうか)。
 エンドロールが始まった途端にさっさと席を立つシニアな方々の姿を見ると、この映画は受け入れがたかったらしい・・・でもこれだけの大女優を一堂に見る、というのはなかなかないと思うので、その価値はあったんじゃないかなぁ(結局、褒めどころはそこですね)。
 ラスト数分の急展開を、あたしはもうちょっと見たかったかな〜。

ラベル:映画館 日本映画
posted by かしこん at 05:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする