2011年07月10日

軽蔑



 「いまどき中上健次かよ!」というのがまず最終に思いついたことで、鈴木杏ちゃん



ファンのあたしとしては彼女のヌードを売り物にする戦略もまた腹立たしい。



 そしてまたかなしいことに、杏ちゃんのけばい化粧やタトゥ姿、ポールダンサーという



職業自体も似合わない・・・ラブシーンも別にストーリー上絶対必要とも思えなかったし、



杏ちゃんが不憫でなりません。 もっといい仕事、選ぼうよ。



 廣木隆一監督は結構評価されている監督のようなのですが、あたしには合わない



かも・・・『やわらかい生活』もそうだったんだけど、テンション低めの日常会話が



さっぱり聞き取れないのです。 今作は冒頭からそうだったので、主人公がどういう



状態に置かれているのかさっぱりわからない。 なので彼・カズ(高良健吾)が何故に



ダンサーの真知子(鈴木杏)をそんなに好きなのかさっぱりわからない(というか



そもそも初対面なのか一方的に好きなのかすでに恋人同士だったのかそれすらも



わからない)。 だから何故「一緒に逃げよう」と言われて真知子もその言葉に乗って



しまうのか、わからない(余談ではあるが、多分歌舞伎町?から二人が走って逃げる



夜の街に韓国料理店が次々あって、ちょっと気持ち悪くなった)。



 えっ! 「原作読んでない人お断り」ですか?!



   世界は二人を愛さなかった。



 で、よくわからないのですが、真知子さんは信条として“恋愛は男と女は五分と五分”



という譲れないものをお持ちのようです。 カズは「わかったよ、五分と五分だね」と言い



ながら、二人が逃げた先はなんとカズの地元。 資産家のカズの実家の持ち物である



アパートの一室で新しい生活が始まるが、当然カズの昔の仲間たちが群れてきて、



真知子さんは孤立無援に。 「オレがちゃんと働いて真知ちゃんを養ってやるよ」という



カズだが、仕事は親父さんのコネでお情けで雇ってもらった酒屋の配達(勿論、それ



すらも彼は満足にこなせない)。



 天性の末っ子気質ですか、カズくん。



 いやー、甘ったれというか人生をなめてるというか現実を知らないというか・・・自分の



言いたいこと・やりたいことはまわりが受け入れて当然、本人自覚してないけど「自分は



みんなに愛されて当然」って思ってるやつほど始末に負えないというか・・・そりゃー、



あきれて真知子さんも東京に戻ってしまいますよ(だって「五分と五分」の意味が全然



伝わってないということじゃん)。



 どこに“魂を揺さぶる壮絶な愛のドラマ”があるのか、頭が痛くなっちゃったよ。



 確かにカズみたいなやつが近くにいて、「こいつなら許されるのに俺は全然ダメなんだ」と



考えちゃうようなやつがいたら、そうとうカズに恨み持ってるだろうな・・・と思っていたら、



どうやらそういう役回りらしい山畑(大森南朋)登場。



   チンピラやくざな本領発揮。 



 高利貸しをしている彼はばくちに入れ込むカズに明らかに返済不可能な金を貸し、



いたぶって楽しもうという意図が見え見えなのだが、愛されボーヤ・カズは人を疑うことを



知らないというかどうにかなると思っているというか・・・ここまでアホだとかまう気もうせる。



 こんなアホにわだかまりを持ち続ける山畑もまた、不幸な人間だったということで。



 というかどうしたんだ大森南朋、最近チンピラ役みんな一緒ではないか。



 と、登場人物の誰ひとりとして感情移入できないうえに(緑魔子さんはさすがにすごい



と思いましたが)、カメラワークなどで特に目を見張るところもなく、日常会話は聞き取り



づらいし、音楽の使い方ダサダサだし(というか人物の心情を演技ではなく歌の歌詞で



高らかに歌わせるのってどうなの? そこは表情なり態度なりで表現すべきところなの



では? 曲自体はいい歌でも、ダサいイメージがついてしまってかわいそう)、いったい



どこを褒めたらいいの・・・



 役者の方々はそれぞれ、がんばっておられたのですがね。



   カズの父(小林薫)は厳格で寡黙ながら

   得体の知れない存在である。 この親子の確執をもっとはっきり描いてくれれば

   わかることもあっただろうけど・・・。



   緑魔子さんはカズの祖父のかつての

   愛人という役どころ。 日蔭者の悲哀・女の孤独を知っているが故に真知子を

   可愛がってくれる。



 若い二人の後先考えない暴走的な愛(しかしそれだけだったら理解者がいれば悲劇は



起こらないわけで、やはりカズのダメダメな性格が困ったもんだということに)の行方は!、



と物語を引っ張りたいのは見え見えですが、もう先がわかっちゃうから全然感動も感慨も



ないよ。 あぁ、やっぱりそうなっちゃったか、で納得、みたいな。



 しかも、「そもそも、それは愛だったのでしょうか?」という根本的な疑問があたしの中に



生まれてる。 こ、これは、どうしたらいいの?



 原作を、読むべき?


posted by かしこん at 06:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする