2011年06月11日

アメイジング・グレイス/AMAZING GRACE



 なんか微妙に古い感じ・・・と思ったら2006年制作映画でした。 このタイムラグは



ミニシアターの足りなさのせいなのか、配給会社の力のなさなのか、配給権の高騰



なのか、よくわかりませんが・・・それでも遅ればせながらも見られることを感謝しないと



いけないのかもしれません。



   その歌が教えてくれた、愛で歴史を変えられると。



 というか、『アメイジング・グレイス』は古来からある聖歌・讃美歌のひとつだと



思ってました。 実は、奴隷船の船長をしていた過去を悔い神門をくぐった人物



ジョン・ニュートンがその罪を神に許してもらうために作詞したものだったとは・・・



(ということはメロディーは昔からあったのだろうか?)。



 18世紀のイギリスで、奴隷解放の条例を通そうとする若き政治家ウィリアム・



ウィルバーフォース(ヨアン・グリフィズ)を主人公に、彼の友人たち・同じ信条を



もつ同志たちとともに「いかにして奴隷貿易をやめさせるか」に奮闘する姿を描く



伝記映画でありつつ、議会政治を真っ向から描く映画でもありました。



 でもイギリス映画らしく、ちょっとひねった描き方だったけど。



   情熱的で弁も立つウィルバーフォース。



 自然と意識せず動物愛護精神を持っているウィルバーフォースは政治の世界に



進むか得意の歌を活かして芸術の道に、果ては信仰の道に向かうか迷っていたが、



のちに首相になる盟友ピット(ベネディクト・カンバーバッチ)の強い誘いと奴隷貿易の



実態に心を痛め、奴隷法廃止をライフワークとして政界へ。 勿論彼の味方はいるの



だが、奴隷貿易は当時のイギリスの主な収入源であり圧倒的に反対派が多い。



 様々な方法を使い、ちょっとずつ票を切り崩す彼らに、ベテラン議員フォックス卿



(マイケル・ガンボン)が味方についてくれることに。



   マイケル・ガンボン、老獪?な政治家を

      やたらキュートに演じちゃって・・・かっこいいったら。



 と、イギリス演劇・映画界を支える人たちが次々登場で別の意味でわくわくだった。



 協力者として情報をもたらしてくれるトーマス・クラークソン(ルーファス・シーウェル)は



少々まなざしがあやしいが・・・なんか見たことがあると思ったら『ツーリスト』にも出て



ました! 反対派の筆頭議員(キアラン・ハインズ)も『ザ・ライト』でヴァチカン側の



人間で出てた人だ(この前見たイギリスのテレビドラマにも出てたなぁ)。 そして



なにより、ウィルバーフォースの師であり、『アメイジング・グレイス』の作詞者である



人物はアルバート・フィニーだし、奴隷船で連れだされたけれどなんとか働いて身を



立てることができた(?)エキアノという人物を演じるのはあのユッスー・ンドゥール!



 なんなの、この豪華キャスト!



   髪の毛がないから最初わかんなかったよ、

            アルバート・フィニーだということが。



 他にも、やたらフランシス・ベーコンを引用するウィルバーフォースの執事さんとか、



ご主人様に決して文句は言わないけれど実はヒステリー寸前の調理係?さんなど、



魅力的な人物多数。 イギリスの役者の層の厚さを見せつけられる〜。



 まぁ、この映画をもって「イギリスが植民地支配を謝罪した」ということにはならない



んでしょうが、「かつて奴隷解放運動に尽力した人たちがいた」と正面切って語ることも



ちょっと勇気のいることなのかもしれない、と思ったりして(この考え方は自虐史観に



引っ張られてるかな?)。



   当然、奴隷船の実態も調査・・・

    よくわからないけど、小道具もかなり気を遣ってる感じがする。 時代考証大変そう。



 長い話を強引にまとめたんだろうなぁ、というメリハリのなさ・若干の説明不足も



感じますが、でもこの俳優陣を見てるだけで満足だったりする部分もあって。



 ヨアン・グリフィズを今までそんなに意識したことはなかったけれど、この映画では



ちょっと三上博史風な雰囲気で、好きなタイプです!



 そして多数決という議会政治の絶対性を逆手に取った大逆転劇に、議会制民主



主義の皮肉を見る思い。 でもそれも清廉な志を持ち続けたからこそ。



 日本の国会よ・・・こういうところを真似してくれ、と思わずにはいられない。


posted by かしこん at 05:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする