2011年06月08日

積読本減らしキャンペーン続行中・・・D



『ボックス21』/アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム



 引き続きのスウェーデンミステリ。



 タイトルの“ボックス”とはコインロッカーのことでした。



 前作では幼児性愛者の犠牲になる子供たち、今作では男の暴力に苦しめられ、



搾取される女性たち、と『ミレニアム』シリーズにつながる題材・・・それだけ、かの



国はこれらの問題に頭を抱えているのでしょうか(そして似たような問題は日本にも、



他の国にもあるんだろうなぁ、と思わされます)。



   コインロッカーベイビーの話ではなかった。



 経済的に力のない国から若い女性をだまくらかし、不法入国させて売春組織に



売られていく彼女たちのかなしすぎる行く末。



 エーヴェルト・グレーンス警部とスヴェン・スンドクヴィルト警部補のコンビが



主人公という形になったので、前作よりは登場人物の判断がしやすくなりました。



 仲間内のひどい仕打ちを闇に葬るか否か、苦悩するあたりは昨今流行りの警察



小説の流れをくんでます。 しかし二人の気遣いを無にするラスト二行、ほんとに



後味が悪い・・・。 このまま終わるなら許されんぞ!、と絶叫したくなるほど後味が



よくない! 第三作目で言及してほしいなぁ、是非。





『植物はヒトを操る』/いとうせいこう・竹下大学



 いとうさん、最近活動が音楽寄りだよなぁ、と思ってチェックを怠っていたら、



こんなの出てました。 対談本なのでサクッと読めてしまうのが物足りない。



 植物は動物より執念深い、という気がしていたあたし、「植物の死は曖昧で



人間を含む動物とはまったく違う時間を生きているよう」という考えには大いに



賛同します。 そう、植物は自分たちの繁栄のために人間を利用しているのです。



   注は多いが写真がもっとほしかったかな。



 あと、「白は滅びの色」とか(受粉してくれるはずの虫には認識できない色だから)、



平和だった時期の江戸時代はお侍さんが暇だったからアサガオ栽培が盛んになった



とか(つまりその時点で“育種”という考え方があり、品種の多様化を生んでいた)、



西洋人が見てびっくりするくらい園芸は発展していたとか(「斑入り」の葉は西洋人に



とっては失敗作だが、それを面白がる日本人の美意識が輸出され、珍重がられる



今に至っているらしい)。



 だからこそ、『ガーデニング』よりも『ひとつの鉢』のほうに情緒を感じる日本人が



なんとなく多いのではないかしら。



 対談相手はキリンビール出身でペチュニアの新種で世界一になった育種家の方。



 今度はこの方の本を読んでみたいなぁ、と思ってみたり。





『ブラック・ハート』/マイクル・コナリー



 ボッシュシリーズ3作目。 こちら原題は『コンクリート・ブロンド』ですが、



邦題は『ブラック〜』で統一することに決めたのかな?、の迷いがうかがえる



タイトルです(ちなみに4作目は『ラスト・コヨーテ』と原題通りになっております。



路線修正?)。



  



 1作目から語られ続けた、「ボッシュがエリート街道から転落し、ハリウッド署



殺人課に都落ちした『ドールメーカー事件』」の詳細が、犯人(とされた)男の妻が



ボッシュを訴えるという形で裁判で明らかに。 が、そのさなかに『ドールメーカー



事件』と同じ手口の被害者が発見され、ボッシュが射殺した犯人は真犯人では



なかったのか?、という疑惑が浮上(ブロンド美女がコンクリート詰めにされた



遺体で発見されるため、『ドールメーカー事件』以後は『コンクリート・ブロンド



事件』と総称)。



 しかし捜査を進めるにつれ、もっと恐ろしい真実が浮かび上がってくる・・・。



 わりと早めにボッシュは模倣犯を特定するんだけど、「いやいや、その人違うって!



もっとあやしいやついるじゃん!」と言いたくなって仕方がない。



 まぁ、事件は事件でいいんですけど(ここでも被害者は運の悪かった女性ばかり)、



捜査過程でボッシュは一匹狼でいることのマイナス点と、うまくやれば組織は使えると



感じるプラス面と両方に向き合うことになり、ちょっと進歩?



 まぁそれでも裏切られたりするし、けれど許すことで自分の気持ちが楽になること



にも気づき、ちょっと合理主義にも足を踏み入れかねないところまできたかも。



 なるほど、このシリーズはハリー・ボッシュが様々な年代で受けてきたトラウマを



ちょっとずつでも自己に向き合わせ、再生を志そうという試みなんだろうか。 でも、



仕事が殺人課ってのがかなり荒療治な気がしますが。



 そして毎度毎度ハリーが恋に落ちる女性は、自分に似た孤独の影を背負ってる人。



長続きするわけないじゃん!、な組み合わせは、あえて毎回別の女性と出会わせようと



いうハードボイルドジャンルのお約束のためなのかしらん(このへんがあたしがハード



ボイルドに納得できない理由かも)。



 が、三作目にして「意外な犯人!」に力を入れてきた感あり!



 この先、是非ミステリとして楽しみたいなぁ。



 それならばまぁ、ボッシュの苦悩にも付き合ってあげてもよい( ← 何故上から



目線だ・・・)。


posted by かしこん at 04:34| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする