2011年05月21日

SOMEWHERE



 ソフィア・コッポラ作品はあたしの中では『ヴァージン・スーサイズ』がベスト



かも・・・ごひいきエル・ファニングにつられて見たこれが現時点での彼女の



最高傑作と評されているのを読むと、鑑識眼と自分の好みとのせめぎあいって



むずかしい、としみじみ思う。



   やばい、寝る・・・と開始3分で

               思わせるのもある意味すごい。



 スーパーカーがぐるぐると同じところを4週も走る遠景を黙って見せられる



オープニングに、「しまった・・・これは寝るかもしれん」と感じたあたし。 いや、



それが勿論運転しているジョニー・マルコ(スティーヴン・ドーフ)の苛立ちや



やりきれない気持ち、退屈を紛らわすことを知らない不器用さなどを表しているのは



わかるんですけど、ドキュメンタリータッチと言えば聞こえがいい、被写体から



一定の距離を置く撮り方は登場人物への感情移入を幾分妨げる意味でも“物語”に



入り込めない・入ってほしくない意図を感じてあたしはちょっと引いてしまうのです。



 日々高級ホテルでド派手な生活を送るハリウッドスターのジョニーだが、前妻との



間の娘、11歳のクレオ(エル・ファニング)をしばらくの間あずかることになる。



   そこにある、静かな日々。



 ハリウッドの仲間たちとは180°違う、クレオとの生活。 しかし、その日々も



やがて終わりが訪れて・・・という話。



 へー、ポールガールってホテルに出張サービスもやってくれるの?、と目が丸く



なるが、その踊りを延々と見せられてどうしたらいいのやら。 ジョニーの空虚な



退屈さはもうわかった! いつまでも同じ体験をさせられるこっちの身にもなって



くれ!、と思う。 しかし、こんなに中身がからっぽの人間が見る人の心を震わせる



“演技”なんてできるんだろうか? 所詮、一時だけのスターって設定か?



 当然ソフィア・コッポラは自分と父親のことを引き合いにされるのをわかって



いるだろうに、父親をこんなに薄っぺらい人間として描くとは・・・なにか許せない



ことでも?、と勘繰りたくなってしまう。



   そこはエル・ファニングの

          かわいさでもってもおつりはこない。



 それにしてもクレオはかわいい。 こんな可愛い娘が自分のことを無邪気に父親と



慕う、そんな姿を見ちゃったら心を動かされないやつなどいるだろうか、というくらい



かわいい。 それ故にジョニーのダメダメさ加減も引き立つわけですが。



 そんなダメ男でも、クレオにとっては大事な父親なので、映画はジョニーに近寄り



すぎないがあたたかい目では見ている。 やわらかな光の映し方とか、まさに



“移ろいゆく時”の美しさをあらわしていると思うんだけど、そのくらいでジョニーの



ダメ加減が許容できるということはなく・・・一応、その先には希望があるんだろう



なぁと思うんだけれど、クレオとの生活を当たり前と感じてしまったらまたふらふら



しかねないジョニーの危険度も見逃せなく、なんとも曖昧な見終わり感になって



しまった。



 あたしには父親が早い段階でいないので、どうも『父親』という存在には過大な



期待を抱きがち&厳しい視点になりがちです。 これもある意味、ファザー・



コンプレックスなのかもしれない。



 だから、この映画とは相性が合わなかった、ということでしょう。



 つまりそれだけ、娘が父親を見る目は厳しい!、のです。


posted by かしこん at 06:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

婚前特急



 邦画でコメディ、しかもラブコメって難しいと思う。 しかしそれに真っ向勝負した



姿勢を買ってみる。



 フリーペーパーの営業を都内でしつつ、同時に5人の男性と付き合う24歳の



チエ(吉高由里子)は、「今が楽しければそれでよし」をモットーに生きてきた。 



しかし親友のトシコ(杏)が結婚することを聞き、「結婚、いいよー」と言われ、



ふと自分の越し方を考える。 では、と5人の男を『結婚相手として相応しいのか



どうか』査定することに。



   何故2番がないのか・・・を想像すると

  それはそれで面白いけど、いちいち全員の部屋の合鍵、持ってるのめんどくさくない?



 その5人の男は、ヘアサロンオーナー(榎木孝明)、バイクショップオーナー



(青木崇高)、食品会社の営業(加瀬亮)、年下大学生(吉村卓也)、パン工場



工員(浜野謙太)。 それぞれのメリット・デメリットをノートに書き込み、デメリットの



多いやつから振っていくことにするが、真っ先に切り捨てようとした相手から



「え、ていうか、オレとチエちゃん、付き合ってないじゃん。 オレ、好きな人が



いるんだよね〜。 だからさ、これまで通り、体だけの関係は続けようよ。 じゃ!」と



予想外の返答。 プライドが傷つきまくったチエはそいつへの復讐に意欲を



燃やすのであった。



 ある意味、チエは率直過ぎである。



 トシコに「なんで5人と付き合うの?」と聞かれれば「だって、相手が一人しか



いなかったら、その相手と都合がつかなかったら最悪だよ? ごはんどうする?



映画は? 旅行は? だから、その人がダメだったら別の人、っていう、時間を



有効利用してるだけ」と言うが自分でも言い訳めいているのはわかっている。



 「だったら、一人で行けばいいんじゃない?」



 「でも、だって、一人じゃつまんないでしょう!」



 そう、チエはさみしがりやなだけなのである。 最初にこういう会話を持ってくると、



突拍子もなく無茶でおバカなチエの行動も見ていて許せる範囲内になるのがうまい



なぁ、と思う。 しかし至極まっとうなことを言っているように見えるトシコも実は



かなり・・・であったりして、「若い女の子、大丈夫か!」みたいな気持ちになって



しまうのはもう世代のずれなの? あたしがカタすぎるの?



 吉高由里子のキャラクターを全面的に活かした、逆にいえば彼女頼りの映画なため、



5人の彼氏の存在が描ききれてない(3人ぐらいでよかったのでは)・途中から



登場人物限られすぎ(脇役にもっと愛情がほしい)・先が読めすぎる(まぁミステリじゃ



ないからいいのか)、と不満がないわけじゃないですが、日本で手薄なロマンティック・



ラブコメというジャンルにあえて参戦した勇気は買いたい。



 でも、“スクリューボール・コメディ”と呼ぶには勢いが弱い。 特急じゃないなー、



急行でもない快速って感じ。 ただドタバタ度を出すために頑張っているのはわかった。



   チエのことをいちばんよくわかって

    いるのは営業職さんなんだけど、バツイチの彼の心は離れて暮らす息子で

    占められているので・・・。



 しかし、チエのぶっ飛びキャラに目が行きがちだが、そもそも5人の男たちも



それぞれ問題ありだし、チエのことを全部夫に喋ってしまうトシコも、それを聞いて



「チエちゃんってほんとに面白い子だねぇ」と答える夫も、なんだか出てくる人たちに



まともな人がいない感じ! ラスト近くに登場する白川和子さんのさりげない一人



語りが唯一まともな人の考えに思えてちょっと感動しちゃったんだけど。



   結局、勢いですか・・・。



 恋愛のゴールは結婚ではないのだが・・・いいのか、それでいいのか!、とツッコミ



満載のラストシーンまでチエの甘さは否めないのだが(その後の生活はいろいろ大変



だと思う・・・)、でも人生とはそんなものなんですかねぇ。



 女の子同士が複数で見に来てる感じが多かったので、見た後ワイワイ盛り上がるには



最適映画かも・・・。


posted by かしこん at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする