2011年05月12日

津軽百年食堂



 結構前に映画館で「近日公開予定!」のポスターを見て存在を知ったが・・・



オリラジか・・・ということで後ろ向きであった(大森一樹監督の作品にも心が動いた



ことがない)。 しかし地震が起こってしまった。 この映画の収益から義援金を出す、



ということなので見てみることにした。



 最近こういう“地方発映画”多いですよね。 ある意味村おこし? 効果的なPR?



 しかし、映画としての出来がよくなければPRになりきれないのもまた現状です。



 バルーンアーティストとして地味に東京で暮らす陽一(藤森慎吾)はある日結婚式の



営業でカメラマン助手の七海(福田沙紀)と知り合い、お互い出身が青森県弘前市で



あることから意気投合、ルームシェアをして暮らすことになる。



 が、実家から父親がバイク事故に遭ったという知らせが入り急遽帰郷した陽一の



実家は100年続く津軽そばの店“大森食堂”。 父親(伊武雅刀)がいなければ店は



開けられない、もうすぐ迫る弘前城桜祭りの出店もあきらめなければ・・・が、



ばあちゃんの願いを汲み、陽一は「店を継ぐと決めたわけじゃないけど、手伝うよ」と



そばづくりに精を出すことに。



 そんな現代パートの合間に、明治に屋台で津軽そばを始めた初代・大森賢治(中田



敦彦)の物語が挿入される。 はっきりいってこの明治パートがかなりいいです!



   画面もほんのりセピアな印象。



 映画全体の割合としては少ないんだけど、印象的かつさほど無駄がない。 かつて



テレビドラマで大根ぶりを披露していたあっちゃんが、無口で不器用だけどいい人の



雰囲気をきちんと漂わせていて、よかったです。



 そして描かれるのは北東北的合理主義というか・・・志が同じであれば血の繋がり



なんか関係なく“家族”であるという考え方(勿論、家族であることには義務も責任も



伴いますが)。 西日本に比べて東日本、特に東北は昔から夫婦共働き率が高いし、



役に立つ人・よく働く人が珍重されます(一般庶民の場合ですが)。



 そこはよかったんだけど・・・そもそも七海の存在はこの映画に必要か?、という



無駄感が漂っていて、せっかく伊武さんが頑固だけど理解もあるいいおやじで脇を



がっちり締めているのにもったいないんじゃ! 初代から4代目までもずっと親友で



あり続けている人物の存在も、もっと扱いを大事にしたら面白いのに。



   伊武さん、久々に正統派オヤジ!



 しかしこの映画、悲しいかな予算の足りなさも随所で披露(音楽が坂本サトルとか



県出身者を起用したり、主要なベテラン役者さんもすでに軽く津軽弁マスターしてる



方を使ってたり。 でも脇役が意外と豪華キャストでびっくり)。



 帰ってきた陽一くんは「やっぱ弘前はいいなぁ」的なことを連発しますが、住んでる人は



いいかもしれんが古い城下町特有のぐるぐる道は、あたしは何回行っても慣れません



でしたわ・・・(目的地がまっすぐ見えるからまっすぐ歩いて行ったら、道が途中から



とんでもない方向にカーブして、目的地から遠ざかる。 あたしは方向音痴ではない



のだが、地図必須!)。



 ちなみに“津軽そば”についても詳細は語られず(別に蘊蓄はいらないので、せめて



製造工程を全部見せるべきだと思う)。 これでは知らない人は「結局津軽そばって



なんなの? 普通の日本そばと何が違うの?」って思って終わりだと思う・・・だから



直接来て食べてくださいということなのかもしれないけど、あまりにも不親切。



 まぁ、Uターン推奨映画としては、都会で疲れた人々に「田舎はいいよ〜」と伝える



目的は果たしているかも。



   私が見たときには、ラストで一部客

      (比較的高齢な方々)から拍手が起こった。 何故に? 青森県人会か?

      それとも地震被害への応援の気持ちか?



 しかし、エンドロールに並んだ“発起人”の多すぎる名前・・・気持ちがなえますわ。



県が本気で取り組んで・・・これかい。



 『わさお』と『津軽百年食堂』と二本でかかっても『海炭市叙景』にまったく



かなわないという現状・・・青森県丸ごとでかかっても、函館市に負けてます。



 ご当地映画はその土地の人に見てもらうのも大事だけど、その土地を知らない人に



こそ見てもらってより価値がある、と思うんだけど・・・神戸での公開は二週間のみ



だった、という事実がすべてを物語っているようです。


posted by かしこん at 00:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする