2011年05月08日

GONZO〜ならず者ジャーナリスト、ハンター・S・トンプソンのすべて〜



 原題は、『GONZO: THE LIFE AND WORK OF DR. HUNTER S. THOMPSON』。



 ジョニー・デップが尊敬する人物として、彼がナレーション(というかトンプソンの



著作からの抜粋を朗読)するから日本配給が決まったんだろうか?、と思って



しまった。 あたしはなんとなくしか知らない人物だったので。 でも『ラスベガスを



やっつけろ』公開当時の熱のこもった映画評の存在を思い起こせば、日本でもある



程度の年齢の、ある特定の層にはものすごく影響を与えた人なのかもしれない。



   日本で言えば・・・誰なんだろ?



 GONZOはもともと“ならずもの”・“常軌を逸している”という意味であるらしい



(日本の警察の隠語「ゴンゾウ」ももしかしたらそこからきているのか?)。



 彼の活動の主な時期は1960〜70年代。 取材対象の中に入り、自分で体験



して書くスタイル(のちに「ゴンゾー・ジャーナリズム」として定着)は当時の一般的な



ジャーナリズム手法とは一線を画しかつ新鮮で、彼は一躍時代の寵児となる。



 そんな彼の活動と残っている映像、親しかった・関わりの深かった人物への



インタビューで構成された結構正統派のドキュメンタリー映画。



 オートバイクラブ“ヘルズ・エンジェル”のことは以前『コールドケース』で題材に



なったけど、それに密着取材して内面を暴露したのはトンプソンだったんですね。



最初はかなり意気投合したみたいだけど、次第に彼らの暴力的な部分とか非合法の



部分に嫌気がさした、と供述(そこ、ジョニー・デップが朗読)。



 ベトナム戦争反対も訴えていた彼は1972年のマクガヴァン大統領選挙報道に相当



力を入れていたけれど、落選という結果に彼は自分の限界を見たのかもしれない。



そして取材する側である自分が有名人になることで取材対象になってしまう、という



ジレンマがかなり彼を苦しめたようだ。



 その後、たまたま食事会で演説していたジミー・カーターの人柄に入れ込み、彼の



大統領選を思い切り援護射撃(トンプソンのおかげでカーター氏は大統領になれたと



いう見方もあるらしい。 カーター氏は今ではアメリカでも散々な評価のようですが、



あたしの個人的なイメージでは彼はそんなに悪くない)。



 しかしトンプソンを知る人々はみな、「彼は・・・まったく厄介な人間だった」的な



ことを言う。 “破天荒な生き様”という言葉がよく似合う人だったらしい。 父親が



死ぬとしたらそれは自殺しかあり得ない、と早い時期から息子が覚悟するような



父親の生き方って?!



 文章には人柄が表れるけれど、その人そのものを映し出すわけではない。 これから



いくら彼の著作を読んでもハンター・S・トンプソンという人物についてわかることは



すべてじゃない。 けれど、「あいつにはほんと、いろいろ困らされたよ」という人々が



みなどこか懐かしそうな表情をするのは、どうしようもないながらも彼には惹きつけ



られるものがあった、ということだろう。



   あたしは勝手に植草甚一的人物かと思ってましたわ

                       ・・・全然違ったよ。



 何故か彼の葬儀(生前に本人によって企画されたもの)には和太鼓の一団も参加。



日本びいきだったのでしょうか? いつか、機会があれば彼の本も読んでみようか。



 今回のビンラディン殺害作戦の件、彼ならばなんとコラムに書くのだろうか(でも



あたしはアメリカ側の執念深さがあたかも『ミュンヘン』におけるモサドの復讐部隊と



心情的に似てる気がして・・・何とも言えない気分になりましたわ)。



 そして福島第一原発の件は・・・ぜひ聞いてみたかった。



 もしかしたらこの先、太平洋からゴジラが現れてくるのかもしれませんね。


posted by かしこん at 06:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする