神戸には芸術を題材にした映画に固定客がいるとしか思えない。 しかもこれ、
2002年の映画。 よく公開できたなぁ(って、見に行くやつがいるからか・・・

ほんとの原題は<CHOPIN. PRAGNIENIE MILOSCI>。
ポーランド映画ということでしたが、台詞は全部英語・・・吹き替えか?
皇帝の都合のいいおもちゃとして才能を浪費させられていると感じたショパン
(ピョートル・アダムチク)はパリに向かい、運命の女性ジョルジュ・サンド
(ダヌタ・ステンカ)と出会う・・・という話。

ショパンの曲は一応使われますが、一部・・・。ジョルジュ・サンドとの関係に
重きを置いてしまったため、音楽家としてのショパンの活動がほとんど描かれ
なかったような気が・・・まぁそんなことしてたら時間が足りないのでしょうけど。
というか、むしろジョルジュ・サンドを主役にしたほうがよかったかも・・・。
ただ、その中でもリストが弾く『革命』がめちゃめちゃインパクトあって感動的!
(と思ったら実際に弾いていたのは横山幸雄さんであった・・・世界的なピアニスト
だが、今の震災の鎮魂のためにショパン全曲演奏をしている方です、さすがだ)
ショパン28歳のとき、6歳年上のサンドとの恋愛というだけでも当時としては
スキャンダラスなのだろうけど、サンドには息子(モーリス:当時15歳)と娘
(ソランジュ:当時10歳)もおり、なんか子供二人の気持ち(特に多感な年頃の
息子のこと)を考えたら「ショパン・・・あんた、ダメだよ・・・」と実に残念な
気分に(モーリスは「お前の母親は15歳の年下の若い男をくわえこんだ」などと
中傷されていたそうだし、かわいそうだったよ)。
サンドにとってショパンは“もう一人の息子”のようにも描かれており、ショパンの
駄々っ子・我儘勝手ぶりは一発なぐりたくなってきます(肺結核になったり、病気で
つらいというのもわかるが)。
果てはモーリスは強い敵意をショパンに向け、成長したソランジュは母親に当て
つけるかのようにショパンを誘惑・・・うわー、家庭壊しちゃってるよ〜。 モーリス、
早く家を出て自立するんだ!、と説教のひとつでもしたくなる。
残念ながらショパンとサンドが愛憎ドロドロ関係をそれでも続けたのか、の動機
(何故そもそも二人は恋に落ちたのか)の部分が説得力を持って描かれていない
ので、我儘坊ちゃんと欲求不満女がTPOをわきまえずにただいちゃいちゃして
いるだけに見えるという・・・この恋愛関係の苦悩がその後のお互いの作品に
影響をもたらしたと思えないのがほんとに残念。
ショパンの遺言を忠実に守るショパンの姉の姿だけが、この映画に品格をもたら
しましたよ。
英語の吹替がいかんのかな・・・原語ならまた違うのだろうか?