2011年03月17日

遥かなる未踏峰/ジェフリー・アーチャー

 いつまでも地震関連のことを考えていると鬱に入っちゃいそうなんで(とはいえ考えないでいられるわけではないのですが)、ちょっと頭を切り替えていつもの路線に戻りたいと思います。
 とはいえこの災害を自分の点数稼ぎ&パフォーマンスに利用しようとしている総理大臣や現与党の有力者っぽい人たちのことは絶対許さないからな、忘れないからな! メンツなんてどうでもいい、一刻も早く東北にガソリンや灯油を運んでくれ。

 閑話休題。
 後半、時間が取れなくなってペースダウンしましたが、読み終わりました。

   遥かなる未踏峰上.jpg遥かなる未踏峰下.jpg 遥かなる未踏峰/ジェフリー・アーチャー
 マロリー評伝、とはあるものの、アーチャー的ビルディングストーリー。
 ふと思うのは、ジェフリー・アーチャーにとって“評伝”というかたちはよかったのか、ということだ。
 いや、興味深い人物だから取り上げるんだろうけど、事実が足枷になって素っ頓狂な展開ができないのではないかと思ったり。 ジェットコースター的展開は実在の人物にはそう期待できないでしょ?
 それでも面白く読んだんだけれど、そういうことが気になったということは・・・微妙だったのか?
 ジョージ・マロリーは史上初のエヴェレスト登頂者になっていたのか、というちょっとしたミステリ仕掛けで始まるこの物語だが、明確な答えは出していない。 読んだ人の思う方に任す、という感じ(でも著者としては登頂に成功したと思いたいのかなぁと感じたりもするが)。
 それにしても・・・ろくな装備も知識もないのにチャレンジする精神は「無知という勇気」というだけでは説明できず、怖いもの知らずとはこのことか、と大変恐ろしくなります。 でもこの遠征のおかげでノース・コルのルートが確立できたわけで、無謀だけど先人の偉業でもあるのよねぇ。
 「そこに山があるから」の名文句を残したとされる伝説の人物マロリーだが、実はその台詞には大して意味はなかったと後日聞いたこともあって、それに哲学的価値を見出している人たちの立場は・・・と思った記憶があったけど、これを読んでも深い意味があっての発言という感じはしなかった。
 むしろ、運命の女性に出会ってからは山に登りつつも心は常に彼女のもとにあり、何のために山に登るのか本人もわかっていないというか当時の状況(国策として、英国人がエヴェレストを最初に征服すべき)に流された、と読めて、あたしの期待する“雪山登山描写”がちょっと弱かったかな〜。
 アーチャー自身が山登りをする種類の人間じゃないからかもしれないなぁ(登山をする人としない人は、やはり種類が違うと思う)。
 王立地理学会での政治的駆け引きの部分などは、さすがアーチャーっぽいというか、そういう部分は妙に説得力も臨場感もあるんですけどね。
 というわけでいささか不完全燃焼ですが、追記に関係者のその後が簡略にまとめられていて、簡略すぎて肩すかしなぐらいだが、歴史的事実っていうのはそういうものなんだろうなぁ、って悲しくなってみたり。 たとえ何十年生きても、後世の人間からは数行でまとめられてしまうものなのですね。
 そのそっけなさが、逆にリアルでした。

ラベル:海外文学
posted by かしこん at 02:10| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする