2011年01月06日

3冊しか読めなかった・・・

 冬休み、たまった本を読みまくるつもりだったのだが・・・何故休みはこんなにも早く過ぎ去ってしまうのか。
 それでもなんとか、三冊読了。

  郷愁という名の密室.jpg 郷愁という名の密室/牧薩次(ポテト名義2冊目)
 なんとこの作品には登場人物としてスーパーもポテトも出てこない!
 完全に、「ポテトが書いたフィクション」という形態です。 それをちょっと物足りないと感じつつ、彼の作家としての成長(?)をよろこぶべきだと感じつつ。 しかし読者としては辻真先さんとは長いお付き合いなので、これがSF(もしくはファンタジー)本格ミステリという趣向なのはすぐにわかりました。
 あたしにはまだ“郷愁”という気持ちがほんとに理解できる年じゃないかもしれないけど、前作の『完全恋愛』同様、どこか懐かしさを覚える物語でした。 リアルタイムじゃないかもしれないけれど、でも「年寄りの繰り言」としてではなく描かれる「若さと苦さ」を書き続けられる作者はやっぱりすごい人だなぁ。 近々辻真先名義の“スーパーとポテト”の物語が出るようなので、それも楽しみにしたい。

  イルカを食べちゃダメですか?.jpg イルカを食べちゃダメですか?/関口雄祐
 サブタイトルは「科学者の追い込み漁体験記」
 実際に和歌山県太地町に滞在し、イルカの行動研究を兼ねて漁船に乗っていた研究者の体験記と日本(主に太地)のイルカ・クジラ漁の歴史をまとめたもの。 書き始めたときはそんなつもりはなかったかもしれないけど、結果的に『ザ・コーヴ』やそれに触発されたイルカ漁反対派に対する冷静な反論、という形になっている。
 まぁ初めから視点はイルカ・クジラ漁擁護派ではあるんですけどね。 ただ、「南氷洋の調査捕鯨よりも日本近海でのイルカ・クジラ漁こそ進めるべき」という主張。 そうですね、そっちの方が大事だと思います。
 ちなみにあたしは便宜上“イルカ・クジラ漁”と書いていますがイルカ類とクジラ類は大きさが違うだけで、“クジラ”でひとくくりできます。 だからクジラ漁を語るとき、そこには当然イルカは含まれているわけです。
 以前関西のローカルニュースで、どこかの高校の特別授業で生徒に『ザ・コーヴ』を見せて話し合わせるというのをやっていましたが、ある女生徒はわんわん泣きながら「信じられない! なんでイルカ殺すわけ! 食べるものなんか他にもあるじゃん」とヒステリックに叫んでおり、それを横の男子生徒が「いやいや、だったらなんでイルカはダメなのに牛はいいのかって話になるやん」とツッコミ、「だって牛は家畜だもん!」と予想通りの答えが返り、他の女生徒から「じゃあ養殖してないマグロはいいのにイルカはダメっていうのもね・・・」と呟きが漏れた。
 あぁ、健全な高校生がいてよかった、と思いました。
 はっきり言って、感受性豊かな(というか自分の都合のいい方向に潔癖な)世代は環境テロリストのプロパガンダにたやすくやられちゃうと思う。 あたしもかつて片足つっこみそうになりましたからね、知ることは大事ですよ。
 「クジラ漁は日本の文化である」ではなくて、「日本にもクジラ漁の文化がある」のスタンスが大切、の主張もまっとうです。 なにより太地町の方々にとってはクジラ漁は生活の一部。 100年以上前の“大背美流れ”(クジラ漁の際に事故に遭い漁師が何人も亡くなった)の悲劇がついこの前の出来事のように語られる土地柄は、京都の人が「先の戦は」といえば“応仁の乱”のことを言う、のにも似ているじゃないか。
 日本は小さい国だけど、それぞれの土地柄がある。 それを守ってこその水産庁や文化庁でしょう! 次は川端裕人の『イルカと泳ぎ、イルカを食べる』も読まなくては。

  沼地の記憶.jpg 沼地の記憶/トマス・H・クック
 『このミス』で思い出して掘り返したやつ。 「今更かい!」と言われても仕方ない感じですが、もういいです、出たときではなく読むときがあたしのタイミングです。
 “記憶シリーズ”の衝撃ふたたび、ということで・・・まさにクック節全開。
 年老いた「わたし」が24歳の時の自分を振り返りながらそのとき起こった悲劇についての思索と回想と混濁。 なにしろ半分以上読んでもいったい何が起こったのかよくわからないという素晴らしさ。 事件や何かの出来事の本質に踏み込みそうで踏み込まないまわりくどさにも慣れたのか、これがクックマジックなのかイライラしない自分にびっくり!
 “恵まれた生まれによってもたらされたものがすべてであるような人間は、じつは何者でもないのである”という一節、これがこの物語のすべてだといっても過言じゃないかも。 自己愛やら自己顕示欲の愚かしさの償いとしてはあまりにもひどすぎる話だが、「とてつもない後味の悪さ」をお約束します。

 そしてあたしはやっと『クリスマスに少女は還る』に手をつけました・・・『遥かなる未踏峰』買っちゃいました・・・終わらない、まだまだまだ、終わらない・・・。

posted by かしこん at 02:10| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする