2010年12月16日

デイブレイカー/DAYBREAKERS

 近未来ヴァンパイアもの、となればスルーはできませんよ。
 しかも主演がイーサン・ホークでダークな近未来となったら否応なくあの名作『ガタカ』を連想せずにはおかず、製作者側もそれをわかっているはずなのでつまり『ガタカ』と遜色ないものになる自信があるはずだ!、と勝手に思い込んだあたしはかなりの期待で乗り込んだ。
 しかもウィレム・デフォーとサム・ニールが共演ですよ!

  デイブレイカーポスター.JPG 邦題からわざわざ複数形を取る必要が?

 そして期待に違わぬダークでスタイリッシュな演出で物語は滑り出す。
 2019年、一匹のコウモリから始まった疫病は人類のほとんどをヴァンパイア − エネルギー源として人間の血液しか受け付けない存在に変える。 となると生じるのは食糧問題である。 感染していない人間たちを捕まえて血液工場として飼うが供給量は追い付かず、製薬会社の研究員エドワード(イーサン・ホーク)のすすめる人工血液の開発もうまくいかない・・・そしてエドワードは人間の血液を飲まねばならないヴァンパイアであるという自らの存在を心の中では呪っているのだった。

  デイブレイカー1.jpg みなさん、人間じゃないです。

 そして多数派になってしまえば社会を営むのは彼らなわけです。
 SFらしく吸血鬼設定も本来の部分を守りながらも新しく。 血に飢えた彼らは次第に理性を失い、ヴァンパイア同士の血を吸っても“サブサイダー”と呼ばれる化け物に変化(そうなったら仲間扱いもしないところが非常に階級差別的で興味深い)。 まぁそういう目で見れば、食糧危機自体も近未来への警告みたいなもんなんですけどね。
 製薬会社の社長がサム・ニールで、彼が出てきた瞬間にあたしは叫びだしそうになっちゃいましたよ。 かっこいい!!!
 『THE TUDORS』でジジイな枢機卿の役だったので老けこんだのかとショックだったのだが、やはりあれは役づくりだったらしい! あやしさ全開でまだまだいけてますよ! とにかくそれがうれしかったです。 『オーメン3 最後の闘争』以来、ほんとに邪悪っぽい役をやるとイキイキして見えるわ〜(でもあたしは『ジュラシック・パーク』の誠実な博士とか、『レッド・オクトーバーを追え!』の忠実な副艦長みたいな役も大好きです。 っていうかサム・ニールが好きだ)。
 そして期待のもう一人、ウィレム・デフォーは・・・なんか年食ったウルヴァリンみたいな感じに・・・いや、いい役なのはいい役なんですが。

  デイブレイカー2.jpg そう思うのはヒゲのせいか?

 ヴァンパイアになったことで不死身だよ!、とよろこぶタイプ・呪われた身になったと世をはかなむタイプ・今の自分を受け入れられないがさりとて自殺もできずに苦悩するタイプ、と感染者は大きくこれらにわけられます。 数少なくなって逃げる人類たちにシンパシーを持ち、共存したいと願う人(?)たちも。 でも悲しいかな、所詮は少数派・・・それ故に、事態は泥沼化していくことになるのですが。
 ヴァンパイアを描きながら「人間性とはなんぞや」という話になっているのですよね・・・いくらでも深読み可能なところが面白い。 そしてここでも、「お兄ちゃんのことが好きで仕方のない弟」が出てきましたよ!
 人間の血液は大事なはずなのに、飢える気持ちが先走ってこの映画でもかなりの血液が無駄にされてますが・・・(『30デイズ・ナイト』ほどではないが)、やっぱり映像的に「飛び散る血」は必要なんでしょうかねぇ。 あぁ、もったいない。
 ただコーヒーショップで「本日の血液含有率20%」みたいな札は非常にシュールで面白かったです。 血液以外の成分も一応吸収できるんですね、栄養にはならないみたいだけど(それにしても純度100%の血液をクリスタルのグラスに入れて氷カラカラさせて飲むのはやたらおいしそうに見えるのは何故? 飲むのがサム・ニールだからか? すごく上等なニンジンジュースのようなのよね。 でも血入りのコーヒーはいまいちおいしそうじゃない)。
 いろいろグロかったり無茶だったり、アラはなきにしもあらずですがあたしは大変面白かったです。
 急激に希望に満ちたエンディングに向かってしまうあたり、『ガタカ』ほどではなかったけれど結構好きかな〜。 最近のヴァンパイアものではいちばんいいかも。
 ただこれも、2008年の映画でした・・・DVDスルーになりかけたみたい。
 もっと拡大公開してもいい作品なのにな・・・残念。

  デイブレイカー3.jpg あたしは個人的にそれほどイーサン・ホークが好きというわけではないですが(キライでもないけど)、苦悩する役が非常に似合いますなぁ。

 ただ、これをあたしはちょっと遠いシネコンのレイトショーで見て・・・駅までの道が人工的な雰囲気なこともあり夜中だし人通りが少ないこともあり、たまに近くをすれ違う人がいるとその人がヴァンパイアに見えてしまう・・・という非常にハラハラ楽しい経験ができました。
 アタリ映画が続いております!

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 02:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする