2010年11月22日

七瀬ふたたび

 これまででいちばん七瀬らしい、と筒井康隆が芦名星を絶賛!、とチラシに書いてあったので気になって。 しかも脚本:伊藤和典・監督:小中和哉って日本の映像ファンタジーSF界B級の雄!じゃないですか(これ、褒めてるのか?)。
 たぶんダメなんだよなぁ、でもきっとキライにはなれないんだろうなぁ、とたまったポイントでタダ見した。

  七瀬ふたたび1.jpg その冷たげな美しさは買います。

 火田七瀬(芦名星)はテレパスであることを隠しひっそりと生きていようとしていたが、同じような特殊能力を持つ仲間たちと出会うことで能力者を排除しようとする組織に狙われる。
 しかしそんな緊迫したシーンでも、「きみら、どこから帰ってきた!」、といういつの時代かわからない派手服に身を包んで登場されたのにはビビりました(のちにモナコのカジノ帰りだとわかりますが・・・だとしても。 ファッションも安い、スタイリストつけてたらいいのに)。
 原作を読んだのは中学生ぐらいだったかもなので記憶が曖昧ですが、映画はわりと原作通りではあるけど時系列を変えてきた(『桜田門外ノ変』方式ですね)。 
 印象深い列車の場面も回想シーン。 七瀬はすでに仲間たちと出会っており、冒頭ですでに彼女は命を狙われている。 このあたり、原作既読が条件ですか?、というほど説明がなく(あとあと続く回想シーンで補足はされますが)、一見さん大丈夫か?

  七瀬ふたたび5.jpg この先、事故に遭う列車から降りた3人。

 なんとも実は豪華キャストで、自殺に見せかけられた殺人事件ではないかという疑いを持つ刑事が平泉成、署長が大杉漣、公安ですか?と思わせておきながら謎の組織の一員が吉田栄作という三者揃い踏みから映画はスタート。
 全然知らなかったので、このキャスティングにはニヤリでしたわ。 最初に死んでるのが池田成志で、組織の手先のあやしいやつが河原雅彦で、更に爆笑。 ただノリオ役の子が『JOKER』伊達さんの子供時代の子だったので驚愕し、やっと名前がわかりました。 今井悠貴くんというのね・・・『光とともに・・・』の子とは関係なかったのね。 しかし彼は売れっ子です。 このままいい役者の道を進んでほしいわ。
 テレパスが読み取る他人の思考が声や音ではなく映像や文字だったりするのがすっきり見せられてよかったかな。 若い女性に対して「桃」って妄想が出てきたり、『家族八景』も踏襲されていて、シリーズへの愛情を感じる。
 しかし本当に残念な低予算ぶり。
 河原雅彦の死にざまなど、『スキャナーズ』にも負けているのではないかというしょぼさ(実際に比較したらそうでもないのかもしれないんだけど、インパクトでは圧倒的に勝負になってない)。 七瀬が湖を渡るシーンなど頭をかかえてしまいたくなった。 あんな表現するくらいなら省略したほうがよかったよ・・・バビュンと瞬間移動しちゃうとかね。

  七瀬ふたたび4.jpg 平泉成、かっこよかったぞ〜。
    「日本は法治国家だ、こんなことは許されん」
 とはいえ、映画としてはノンシリーズである作品にあえて『七瀬ふたたび』というタイトルにした意味がわかるところでは、原作とはまったく異なる展開ではあるものの製作者側のこの物語に対する愛情、もしくは滅びゆく者たちなのかもしれない能力者たちへの想いを希望に託したかったという気持ちが伝わり、ちょっとジーンときました(SF的に「それは禁じ手だ!」と言われれば返す言葉がないが)。
 いいんです、原作を愛する者ならばその気持ちはわかるから。
 というわけで、やはり「ダメダメだけどキライになれない」映画でしたよ。

ラベル:映画館 日本映画
posted by かしこん at 01:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

インシテミル 〜7日間のデス・ゲーム〜

 だいぶ前だが、この映画の予告を見たときあっけにとられた。 北大路欣也がやるような役、あったっけ!?
 うーん、結城くんも藤原竜也とはイメージ違うんだけど・・・『デスノート』『カイジ』といい、非日常にぶち込まれる役が多いなぁ(そもそも『バトルロワイヤル』以来か?)。 彼も役柄が固定されちゃわないかしら。
 最初に、ホリプロ50周年記念作品という文字が出た。 え?
 てことはプロダクションがらみのキャスティングありきなわけ?・・・がっかりだ、と途端に真剣に見る気をなくした。
 そうだよなぁ、そもそも“7日間のデス・ゲーム”なんてサブタイトルがついた段階で原作を活かすことを放棄してるもんな〜。 “INしてみる”の意味にタイトルを限定してしまった罪は大きい。

  インシテミル2.jpg こういう感じ、多いよね。

 が、さすがだと思ったのは北大路欣也。 カメラがとらえた瞬間に「アル中のおやじ」だとわかる! しかし語り始めちゃうとその声の説得力でダメな人とは感じられなくなっちゃうのだが・・・。 そんな感じで役者さんの技量の差があまりに出過ぎていて、つらいなぁと思う人も何人かいましたけどね(石原さとみは鬼気迫っててよかったです)。
 まぁ多分、『SAW』っぽいことがしたかったんだろうなぁと思うのですが・・・レーティングなしなんで所詮手ぬるいです。 さすがにホラー的演出に冴えは見られるのですが、原作にある「ミステリ要素」が排除されちゃってるんですけど・・・なんでもかんでもボーナスポイントは一律二倍かよ、それで“心理戦”とか言われても・・・(探偵役になるか犯人役になるか、ただ生き残るかどれをとってもボーナスの割合が変わり、それぞれの目標金額になるためにはどの作戦をとったほうが有利なのか・・・という心理的駆け引きが原作では重要ポイントだったような記憶が)。

  インシテミル3.jpg ヒゲは剃った方がよかったのでは。

 ただうれしかったのは、娯楽室の書棚の文庫がほとんど創元推理文庫だったことですかね!(ミステリの古典作品がモチーフになっているということもあろうが、『インシテミル』は文芸春秋から出てるけど、作家としての米沢穂信を救ったのは東京創元社だし)。 でもなんでそういうことがわかっていながらミステリ部分を一切活かさないのだろう・・・。
 しかもとってつけたような「物見高いが無関心な社会そのもの」ってのも中途半端に描かれてもダサいだけなんですけど。 やるならもっと一歩踏み込め!
 これまた「残念だよ、とても残念だよ」じゃないか〜。

  インシテミル1.jpg 須和名さん(綾瀬はるか)はぶっとびのお嬢様ではなかったし。

 『リング』の監督の最高傑作はやはり『リング』のままなんですかねぇ。
 しかし映画館にはティーンエイジャーが多く・・・結構みなさん息を呑んでいたり、上映終了後には緊張が解けたみたいなため息と笑いが起こっていたり・・・あぁ、薄汚れた大人でごめんね、という気持ちになってしまった。
 そうか、あたしが観客としてふさわしくなかったのか・・・。

ラベル:映画館 日本映画
posted by かしこん at 01:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする