2010年11月16日

引き続き、登山について考える

ドキュメント道迷い遭難/羽根田治
 引き続きこのシリーズ。 今回は「道迷い」がテーマです。 山に入ったことがある人ならば必ずといっていいほど経験のある道迷い。 たいていは自力で軌道修正できるため大事にはならないが、遭難するきっかけはこれだったりすることが多いようだ。 大事にならないために、実際に道に迷って遭難した人々の体験談8例をまとめている。

  道迷い遭難.jpg すでに迷いそうな場所だ・・・。
 というわけでみなさん「帰ってこれた人」なので最悪の状況にはならないという安心感が読者側にもあり、結構気が楽な状態で読めました。
 あたしは山には登りませんが、なにせ自然豊かなといえば聞こえがいいが、単に未開発地が多い北東北出身、子供の頃から「たけのことり」などで山に連れて行かれた(たいそうな山ではないのだが、毎年必ず何人もがたけのこ・山菜とりなどで行方不明になったりしている)。 だから「スタートの場所から離れすぎてはいけない」・「迷ったら音をよく聞け(車の場所にラジカセを大きめ音響でかけてあるから。 勿論クマ対策でもある。 ヤブに入り込んだら音を鳴らして歩けとか言われたので自分の背丈以上のヤブには踏み込まないようにした)」・「絶対に沢には下りてはならない」などの鉄則は小さい頃から理由不明でたたきこまれる。 それでも迷う人がいるのは、たけのこをとるという目的に夢中になりすぎるんだろうなぁ。
 その上、町内会や子供会で企画する山歩きツアーのようなものにも参加させられ、山の植物やら道の読み方などガイドさんから教わる。 だからあたしはもう山に行こうと思わないのかな・・・行ったら行ったで面白いのはわかっているが、わざわざ行くほどのことでもない、って感じで。
 そんなことを思い出したのは、事例の中に「ハイキング気分で来たが、思わぬところで道に迷い遭難」というパターンがあったから。 悪いほうへ悪いほうへと進んでしまう映画のような流れである。 自分の勘などあてにならず、つい楽なほうへ行こうとしてしまう人間の気持ちが最悪の状況を引き起こす、冷静でいるつもりでも決して冷静ではないのに本人はそのことには気づかない。
 「道に迷ったら元の道を引き返す」が鉄則だけど、「ここまできたんだから」とか「今まで来た道を戻るのはしんどい」という理由で「この先をちょっと行けば目的地に違いない」という根拠のない思い込みにすがってしまうものらしいから・・・。
 地図・コンパスは必須! 地図も読めない・コンパスも使えない人は山に行ってはいけませんよ。 山ガールをファッションアイコンにする動きとか馬鹿げてるからね。


トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか 低体温症と事故の教訓/羽根田治・飯田肇・金田正樹・山本正嘉

 2009年7月に起こった大量遭難についての一般向け検証書、というところでしょうか(羽根田氏以外は実際に事故調査特別委員会のメンバー)。 事故の様子をルポにまとめたものと、原因である気象・低体温症・ツアー登山について科学的・論理的に検証したもの。

  トムラウシ山.jpg 天気がよければ穏やかな山なんだろうけど。
 まず、これまで「疲労凍死」とされていたものはほとんど「低体温症」と考えたほうがいいという記述・・・低体温症自体があまり知られていないというか重要視されてきていなかったということがわかります。 あたしは基本的に体温低いのであるが(平熱35℃近辺)、それでも34.0℃とかになると動きが鈍くなったりする自覚があるので、平熱が普通の人が一気に34℃まで下がったら、そりゃ行動に支障をきたすよね。 夏山しか登らないという人でも昼と夜の寒暖差を把握してから行くべきです(北東北や北海道の一日の寒暖差はかなりのものだぞ! それに、風は体感温度をぐっと下げるしね)。
 ツアー参加者のみなさんは遭難の状態に遭遇する前だけど、山小屋での雑談で「好きな山で死ぬなら本望だよねぇ」的なことを語っておられたようだ。 それは登山をする人誰もが持つ気持ちなのかもしれないが、実際にその場で自分が遭難するとは思っていないからこそ言えるんだろうし、まして探す側の気持ちにはなってるのかとかいざというときの対策はしているのかと聞きたくなる。 そもそも登山は自己責任の世界と山岳会の人がよく言うんだけれど、「連れて行ってもらう」というツアー登山の形態ってそれと真逆なのでは。
 いろいろと納得できないことが渦を巻く。
 このときの事故は“本来引き返すべきだったが、出発してしまった以上予測を上回る悪天候の前になすすべがなかった”、ということになるのだろうか。 引き返すべきだった、というのも後知恵だと言われたら返す言葉もないが、だが撤退を決断できない人は山に行ってはいかんだろ・・・。 ただ、同じ日に同じルートを通ったパーティーがどうにか無事に温泉地に辿り着いたというのもあるのだから(これも本来判断ミスである)、被害者が出る出ないが批判の分かれ目、結局それは運なのか・・・と思わざるを得ない。
 やっぱりあたしには登山がわからないな〜。

posted by かしこん at 02:17| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする