なんだか一年は早いなぁ、と思ったらこの前彼らを見たのは今年の5月・・・。
すんなり思い出せるのだが、ずいぶん前のことのような気もするし。 去年の『そこで黄金のキッス』もまた結構前のような、でもそんなに過去のことではないような。 学生じゃなくなってから一年を表す基準がなくなったなぁ。
だから毎年一回あるものにそれを託すのであろうか?
たとえば、アカデミー賞やグラミー賞であったり、シティボーイズライヴであったり。
で、2010年を表す今回のステージですが・・・斉木さんの面白オープニングはなかった。

当日券、あったのか・・・。
冒頭はアフリカ行きの船を待つ男(きたろう)から。 だが船はまだ来ない。
テロップの文字とともに斉木さんの「10月突然!」っていうナレーションが切り替えになるショートコント集が続き、なんとなく、三木聡テイストが戻ってきたような感じが。
が、次のくだりから、一気に「時事ネタ」に突入。
有 志 「もう一度、逮捕してください」
斉 木 「いいのか、船長」
有 志 「はい!」
斉 木 「領土問題が大変なことになってるんだぞ」
有 志 「ほんとうに、申し訳ございませんでした」
斉 木 「中国が、謝罪したぞぉ〜」
大爆笑に拍手喝采ですが、こんなにもストレートに時事ネタを入れてくることにびっくりしたよ。 とはいえ、全部放送できるんだろうか・・・編集? ピー音?
オープニング映像は明らかにフィルムノアール意識。 『突然炎のごとく』のイメージでしょうか。 スタイリッシュですが、映像コントは今回なかった。
以下、コントのタイトルはあたしが勝手につけました。
<脳内のハードディスクを整理してください>
「最近頭の中がぐちゃぐちゃなので、整理してくれるところがあると聞いて」と患者(きたろう)が。 では、と医師がヘッドギアをつけさせれば脳内ハードディスクがMacで表現される。 記憶がそれぞれフォルダに入っていて・・・「ドストエフスキー」や「エリックサティ」ってフォルダがあるんだけど、「エリックサティ」のフォルダの中身は「マイカルサティ」だったり、「ニーチェ」のフォルダの中には「フルーチェ」全種類が・・・。
いろんなところに脈絡なく「イチロー」が入っていて、「もうイチローのフォルダ作ったらどうですか」と医者に怒られたり・・・『非常識な青空』の現実感のない患者・きたろうと精神科医・いとうせいこうの図をちょっと思い出す。
<ミスター・カトウ>
父親が出ていき、残された母親と子供たちだけで暮らす一家は下宿人のミスター・カトウ(中村有志)にどんどん頼って生きていくことになる。 お人よしを見抜かれ、利用されているだけなのによかれと思って自分の首を絞めていくミスター・カトウ。
うわぁ、これって世界における日本の立場と評価(?)みたいなもんだよなぁ、と痛々しくて見ていられない・・・わ、笑えねー。
<重厚>
地元の大物政治家(きたろう)のもとに結婚式でもらった祝儀袋にお金が入ってなかったと言いに来た青年(ザ・ギース尾関)が、思わぬ展開で「日本を裏で仕切っている人たち」に会いに行かされる。
重厚な演技が披露されるときには舞台上手の「重厚」ランプが点滅。
きたろうさんの大物演技が結構それっぽくてよかった。 ドラマなんかで悪徳政治家とかやればいいのに。
大物たちが次々と謎のボタンを青年に差し出すけれど、あたしが好きなのは「2011年の7月になればわかるぞ」でした。 このネタ結構面白かった。
<年上女房の会>
新婚の会社の後輩の家に遊びに行ったら、奥さんはすごく年上で、年上女房仲間が集まっていた。 恥じらう新婚だけど老年な妻たちをシティボーイズがやっていて、笑っちゃうけどちょっと気持ち悪かったです!
<叱りバー>
お店の若者たちを好きなだけ説教できるバーにお客(大竹まこと)がやってきた。 が、ウェイター(斉木しげる)はやりたい放題で、若者たちが出てくる前に客は説教を始めたくなるのだった。
ツッコミまくる大竹さんは好きですが、音響の関係なのかいまいち台詞が全部細かいところまで聞き取れなくてちょっといらいら。 大竹さんのマイクだけちょっと音が膨張していたのだ。 最初から最後まで直らなかったので、あたしの耳がおかしいのかそれとも座った場所のせいだったのかもしれないが。
斉木さんの暴走によりオチがめちゃくちゃになった模様。
<さておきクラブ>
とっさの行動で窮地に追い込まれ、けれどそれをさておくことで現実から逃避する人々の姿。 親の死を隠し年金を不正受給とか、言うことをきかない相手に逆上して角材ふるったりとブラック度高し。 アナログテレビに出るテロップを「邪魔だ!」と一刀両断し、朝鮮高校の存在を俎上にあげてたなざらし。 是非WOWOWにはカットせずに放送してもらいたい!
<コロス>
古代ギリシア劇のコロス(観客に対して劇の内容を説明し、理解を深めるために存在するもの)を使って「なんとなくの顔見知りと思わず電車で会ってしまったが、会話が続かない」という若者二人の姿を描写。 コロスたちは舞台を縦横無尽に動き回り、誇張された発声を繰り出し・・・ジジイたちは明らかに体力を消耗。 お約束のように大竹さんは息切れして倒れる。 有ちゃんはさすがですが、他のみなさんはどんどん動きがばらばらになっていくのだけれど、それでも踊り・動き続けるのがよいのですよ! 今回いちばんのネタかなぁ。
<アフリカ行きの船>
船を待つ人が三人に増えている。 そしてとうとう船がやってきたが・・・。
ゲストのザ・ギースとラバーガールは若手でもなかなか実力派のようで、前に出過ぎず空気を壊すことなく、うまく世界観にはまってる感じだった。
普段からシュールなコントをしているのかもしれない(すみません、どっちもあたしは知らないというか見たことあるんだろうけど認識してなかったコンビなので)。
今後は注目していきたいと思います。
相変わらずのエンディングトークも、若い人たちと一緒にやっておじさんたちは楽しかったみたいで、よかったですなぁと思ってしまう。
今年は長台詞がなかったのできたろうさんは怒られずにすんだけど、その分、斉木さんが怒られたなぁ。
また大竹さんは有ちゃんの女の見る目のなさをこきおろし、「大竹さんがそんなこと言うからこの前週刊誌に出ちゃったんですよ」とぼやかれる。
「だって二回も三回も結婚してんのは事実だろう。 ほうぼうに子供はいるし」
「まぁ、それはね〜。 だから大変ですよ、いつまでも仕送り人生」(会場爆笑)
「不幸だな〜。 ま、そうだな、不幸なやつが輝くために舞台はあるんだからな。 普段の生活が輝いてる人は舞台に立つ必要なんかないんだよ」
なんかそれ、今日でいちばん深い言葉かも!
ダメ出しされたザ・ギースの尾関くんに、相方の高佐くんは「確かに尾関はダメなんですが、斉木さんよりはましだと思うんですけど」と擁護する。
「いや、尾関。 お前は若いときの斉木そっくりだ!」
そう大竹さんが断言したので、今後の尾関くんに注目だなぁとあらためて思いました。