2019年12月10日

不穏な眠り/若竹七海

 ほら、すぐ読んじゃったじゃない!
 ゆっくり読もうとしてみたんだけど、もともとが薄い(本文で250ページない)ので無駄な抵抗に近かった・・・。

  不穏な眠り 若竹七海.jpg なんと解説は辻真先だ!
 私立探偵・葉村晶の連作短編集、4編収録。
 『水沫隠れの日々』・『新春のラビリンス』・『逃げ出した時刻表』・『不穏な眠り』収録。
 有能だが運の悪い葉村晶の不運度は、短編だとより際立つ。 度重なるとむしろスラップスティックコメディのような趣に(古いほうの『トムとジェリー』を思い出してしまうほど)。 が、解き明かされる“事件”や“謎”には、人間のいやーなところがつまっている。
 また途中で話を聞くことになる人々の中にも、ヤバい人たちがかなりいる。 この国、大丈夫かと読んでいて真顔になるほどだ。
 しかも予想通り富山店長は理不尽なことを言ってくるし(本人が自分に非がないと思っているので)、<東都総合リサーチ>の桜井さんとの持ちつ持たれつは相変わらずだし(とはいえ晶のほうが負担が大きい)、いつも通りな部分もあるけど齢は重ねていくので、いろんな意味で感情移入してしまいます。 あたしは晶さんより少し年下なのだけれど、

 男たちにジロジロ見られながら、事務所を出た。こういうとき、年をとってよかったと思う。若い時分には、アキラなのに女かよ、とガッカリされるとそれだけでへこんだ。今は気にならない。勘違いするほうが悪いのだ。
                       (――『新春のラビリンス』)

 みたいなこと言われると、「あぁ、わかる!」と力強く頷いてしまう。
 彼女の考える“人として”の最低ラインを守ることが美学となり作品世界をハードボイルドなものにしているが、ちょっと意地を張ることすらも難しい世の中だということもあるのか・・・それでも、探偵であり続ける葉村晶を見ていたいのです。 応援したい、だとちょっと違うかな・・・そうだよね、わかるわかる、と言いたいというか。
 短編のほうがミステリとしての切れ味は鋭いのだが、いろいろ内省することが多くなる長編のほうが個人的には共感ポイントが高くなるんですよね・・・短編だとすぐ読み終わっちゃうし。 あぁ、なんか読み終わってしまってもったいない。

ラベル:国内ミステリ
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2019年12月09日

今日は5冊。

 シリーズ物や大作が多く出る気がする12月、やはり年末年始に読んでほしいという意識が働くのだろうか・・・しかしあたしは未読本を山と抱えていて、どれから読んだらいいか悩んでしまう(しかしそれを迷うのもまた楽し)。 移動・持ち運び用にブックカバーをかける作業も楽しい(印刷ミスの裏紙を使うときはマスキングテープで飾り付けと本からはずれないように織り込み部分のカバーを押さえる処理も)。

  不穏な眠り 若竹七海.jpg 不穏な眠り/若竹七海
 <葉村晶シリーズ>、新刊。 復活後は定期的に出てくれているのがうれしいが、持った瞬間「薄い!」と悲鳴に近い声が漏れそうになる。 長編・短編集の順番で出てきているから、前作『錆びた滑車』は長編なので確かに今回は短編集だが・・・短編だとシュールで理不尽な展開になることが多いからなぁ。 富山店長の傍若無人ぶりにもきっと腹が立つに違いない!
 1月からNHKでドラマになるようだから、それに合わせて本にしたんじゃないのかなぁ。 4編収録は、少ない。 すぐ読んじゃうじゃん! 葉村晶役はシシド・カフカだそうである・・・いいんだけど、若くない?(どれを原作にするのかによるが・・・『プレゼント』と『依頼人は死んだ』ぐらいなら)、髪、短くない?

  ゲームの王国文庫版1.jpgゲームの王国文庫版2.jpg ゲームの王国/小川哲
 日本SF大賞受賞作じゃなかったっけ。 単行本時、読んでみたいと思ってましたが・・・いつの間にか文庫になってくれました。
 最近はSFが文学の範囲を広げ、新しい表現と向かい合っていると感じるわ。

  ジグムント2 一抹の真実.jpg 一抹の真実/ジグムント・ミウォシュフスキ
 ポーランド発本格ミステリ。 『怒り』から始まるシリーズで、第三作『もつれ』へ至る途中の本書が第二作。 順番通りに日本語訳が出ないこともあるのだと、受け入れざるを得なくなってきたな・・・(いや、もっと昔はこういうことはよくあって、あたしが幸運な時代をたまたま享受できたからそれを普通と思ってしまってただけだった)。
 むしろ、田口俊樹訳と統一してもらえることがありがたい。

  トリロジー1闇という名の娘.jpg 闇という名の娘/ラグナル・ヨナソン
 アイスランドミステリ『極夜の警官』シリーズの作者による、新シリーズ。 北欧ミステリはかなり定着してきたが、アイスランドはインドリダソンとこの人だなぁ。

ラベル:新刊
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2019年12月08日

ケーブル編み手袋 @ 千代治のくつ下

 ここしばらくずっと革の手袋を使っていたが、使い過ぎてヨレヨレになってきた。 それに、そろそろニットの手袋の手触りも恋しい。
 でも何故かあたしはニットの手袋、指の部分どこかにワンシーズンで穴をあけてしまう・・・安いやつでも結構いいやつでも。 だったらもう、指がないタイプを探したらいいのではないか、と考えた。

  20191201ニット手袋1 (1).JPG というわけでこれを。
 普段は靴下専門店ですが、季節ものということで手袋も取り扱ってくれてました。 普通の手袋もあったけど、手首の部分が非常にロングだったし・・・カバー的なものがあったのでそれにした。 ウール100%・全8色の中からインディゴを選択。 グレー系にしようかなと思ってたけど、どうせならなかなかない色にしたいなぁ、と。

  20191201ニット手袋2.JPG 手にはめるとこんな感じ。
 長いほうが指を入れるところ。 そこを二つ折りにすると指の動きがスムーズになるとか。 同じカラーでネックウォーマー・レッグウォーマーなどいろいろ揃えることも可能らしく・・・やばいな、揃えたくなっちゃうな。
 いや、まず冷えとり靴下かもしれん・・・。

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2019年12月07日

リーンの翼 全話一挙上映【特別興業】

 <「富野由悠季の世界」兵庫会場開催記念 関西7会場横断 富野由悠季監督作品リレー上映>企画、『リーンの翼』全6話一挙上映会に行ってきた。 小説(カドカワノベルズ版)は昔読みましたがアニメは観ていなかったので。 でも作品紹介見たら全然わからん・・・どうやら小説の後日談らしいとわかる。 後半の話、あまり覚えていないのだが、観たら思い出すかも。
 土曜ではあるが仕事に出たので、18時30分からの一日一回、一週間限定上映に間に合う。
 神戸国際松竹です。 OSシネマズや109HAT神戸でも諸作品を上映しています。
 ロビーから開場を待つフロアに行けばやたらオタクっぽいイメージの男性が沢山いて、「ど、どうした?!」とびっくりするが、実は隣のスクリーンが『冴えない彼女の育てかたFine』であった・・・そっちかよ。 しかし残ったのはガンダム世代な方々から大学生ぐらいの方までそれなりに幅広く、男女割合も半々ぐらいだったのだった。 さすが、富野さん。

  リーンの翼アニメP.jpg 新しきオーラバトラーサーガがはじまる!!
 岩国基地を反米・反中華思想にかぶれた若きテロリストが襲う。 巻き込まれたエイサップ鈴木の前に謎の軍艦が出現、少女リュクスはリーンの翼の力でオーラロードを通り、異世界“バイストン・ウェル”から来た・・・という話。
 いや、このあらすじもなんだかまとめが難しくて、30分枠6回でやる話じゃないですよね! なんかいろいろ強引だよ! 基本設定を知らない人はずっと置いてけぼりになる・・・。

 もともとネット配信 → DVDリリースという発表の仕方だったらしく。
 オーラバトラーやメカ系はCGなのがまるわかりなのが(他の絵との差が激しい)今の目から見ると残念。 いや、作画が劇場公開できるレベルではないかもだけど、音はやはり映画館いいです。
 いろいろと盛り込みすぎで登場人物に感情移入できるスキが一切ないんだけど、「あぁ、これは迫水真次郎に決着をつけさせてあげる話か」とわかって感慨深い・・・。
 あ、迫水真次郎とは小説版『リーンの翼』の主人公でして、元特攻隊員なのです。
 なんというのか・・たとえば『永遠の零』にはまったくないあの時代的なものがありますよ・・・今ではつい避けがちな戦争の生々しさとか、いろいろ言われそうな歴史観とか、そういうのもぜんぶひっくるめての富野由悠季だなぁ、と。 ある程度の年齢になってシンジロウ・サコミズのその後を描かなければ、と思ったんだろうなぁ、と思うと更に感慨深い。 おまけにサコミズ役は小山力也だったの・・・ジャック・バウアー以上に叫んでいる感があったわぁ。
 帰って来てから調べたら、カドカワノベルズの小説版が編集・加筆されてその後の話も追加されて、単行本全四巻が出ているらしい! 図書館にも置いてあるようだ、読んでみようかしら。

ラベル:アニメ
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2019年12月05日

萩尾望都 ポーの一族展 @ 阪急うめだギャラリー

 気がついたら始まっているではないか。 来週になったら自分のスケジュールがあやうい、終わりが近くなると込む、行くのなら今の内だ!、ということで「今日は早く帰ります!」とフレックス的に16時過ぎには仕事をあがり、梅田の阪急百貨店へ急ぐ。
 目指すは本店9階、阪急うめだギャラリー!
 初日は開店前から行列ができたというウワサ・・・しかし二日目、平日の夕方ということでそれほど込んではいなく、ゆっくり見ることができた。

  20191206ポーの一族展5.jpg 開催:12月4日〜16日
 まず入り口から入ると、エドガーがアランを“連れていく”場面がプロジェクトマッピングにて展開。 ・・・これっていいのか、と自問自答。 いや、ありなのかも。
 『ポーの一族』の原画が発表順に掲示されていて・・・70年代に描かれたものがこんなにしっかり残っていることに驚く(というか、描かれた時期を見てびっくり)。 印刷には出ていない、修正としてのホワイトと効果としてのホワイトにどよめく。 修正といっても、見直してみたら背景の書き込みがちょっと多すぎる、というニュアンスで消されているものが多くて、いかに「印刷でどう見えるか」を意識しているのが感じられて「すごい!」と思う! この点描、全部手打ちなのか!
 それが次第に青鉛筆でアシスタントへの指示が入るようになり、切り貼りして一枚の原稿が仕上がっているなど、「締め切りに追われるようになったのかな」と仕事量の急増を察することができるように。 いわゆるシュラバというやつだが、それでも楽しかったのかなと感じさせるものがあって、なんだかニヤニヤしてしまう。
 と、絵を見ているつもりが、いつの間にかマンガとして読んでしまっていて、「はっ、次のページがない!」と愕然としたり。 えーい、家に帰ってから読め!
 えっ、『ゴールデンライラック』って78年発表なの? 『スターレッド』と同じ年?!、と、改めて知っておののくことも。 あたしが初めてリアルタイムに読んだのは『モザイク・ラセン』、『A−A’』という月間プリンセス連載だったのよね。 そして『マージナル』〜『残酷な神が支配する』〜『バルバラ異界』〜『王妃マルゴ』とコミックスでずっと読んできてるので、絵の変化がそんなにわからないな・・・デビュー当時は手塚治虫の影響が明らかだけど、『ポーの一族』のあたりでは萩尾望都の絵はもう完成されている。 『トーマの心臓』が過渡期と言えばそうかも。
 『ポーの一族 春の夢』はマンガ原稿用紙自体が専用のメモリ付き白ケント紙になっていて、70年代と比べて道具の進化の著しさも感じる。
 カラー原画の美しさにも「これ、印刷に出てないよ!」と驚き・・・気がつけば肩と背中が重くなっていて、同じような姿勢で2時間ぐらいずっと見ていたので思いのほか肉体的疲労が・・・しかし気持ちは高揚している!

  20191206ポーの一族展1.JPG 戦利品
 グッズは阪急うめだのホームページに載っているもの以外にも結構あり・・・でも「使うかな?」と考えると、結局ポストカードと栞になってしまった。 BOX入りポストカードセットは自分で見る用、バラで買ったのは人にあげる用。 しおりは使います!
 マスキングテープもあったけど、多分もったいなくて使わないので買わなかった。 バラのエッセンスなどは自分では使いこなせない。
 本が結構な種類売っていて、あたしはほぼ持っているのであまり見てなかったけど、若い男性が『ここではないどこか』を買おうとしていて、あたしはまたにっこりする。

ラベル:アート マンガ
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2019年12月03日

グレタ/GRETA

 イザベル・ユペールとクロエ・グレース・モレッツ共演、監督ニール・ジョーダンときたら、これは観るしかないでしょう!
 でもあまり話題になってる感がないのは何故?

  グレタP.jpg 拾っちゃいけない届けちゃいけない

 ニューヨーク、幼馴染のエリカ(マイカ・モンロー)とルームシェアしているのフランシス(クロエ・グレース・モレッツ)は勤務先のレストランへの通勤に地下鉄を使っている。 ある日、地下鉄の車内で置き忘れられたカバンを見つけ、忘れ物取扱所にもっていこうとするが閉まっていたため、中のIDカードを見て届けに行くことにする。 持ち主のグレタ(イザベル・ユペール)はフランシスに感謝し、夕食に招待、それをきっかけに二人は急激に親しくなっていくが・・・という話。
 ここだけなら“ちょっといい話”にもなりそうなのだが・・・映画は冒頭あたりから不穏な空気を。

  グレタ3.jpg まずこの二人の関係も微妙。
 フランシスが最愛の母の死から立ち直れていない、ということがわかるのだが・・・エリカがあまりにおバカでチャラい人に見えてしまい、真面目でおかたいフランシスとほんとに親友なのか?、という実感がつかみにくい。 なにか裏があるのではないか、と勘繰ってしまうじゃないか(それも作戦なんだけど)。 それにしてもどんな場合でもフランシスの髪型も服装も決まっていて(ファッション誌のグラビアになりそうなぐらい)、「クロエ・グレース・モレッツをかわいく撮る!」という強い決意を感じさせる。

  グレタ2.jpg そこに更にイザベル・ユペール参戦!
 グレタには優雅さがつきまとう。 その余裕のある優雅さが変化するのかと思ったら・・・余裕のあるなしには変動はあるものの、優雅さは消えない! ときに狂気をふりまく度合いにも驚愕。 フランシスの働くレストランに現れたグレタの着るスーツが“ちょっと古い”感を出していてグレタの現実離れした存在を浮かび上がらせてるなと思ったら、シャネルのヴィンテージであると気づいたときの衝撃!
 そんなわけでこの二人の女優を堪能するための映画です。

  グレタ4.jpg わ、スティーヴン・レイだ!
 『クライング・ゲーム』の縁はまだ続いているのね、とわかるのはうれしいが、あなた何のために出てきたのよ・・・と言いたくなる悲しさ。 サスペンススリラーとしたらあまりにも定石通りの展開で、どうしたんだニール・ジョーダン!、どんでん返しはあきらめたのか?!
 その代わりというか、このジャンル映画へのオマージュ、ヒッチコックやブライアン・デ・パルマを思わせるシーンを挿入してきてこちらを驚かす。

  グレタ1.jpg 結局こういうことか!
 追い込まれるヒロインならばクロエ・グレース・モレッツにはすでに『キャリー』があるし、ヤバい女ならばイザベル・ユペールには『ELLE』がある。 ある意味二人の得意技のバリエーションを見せてもらうということなのか。
 説明されない謎はたくさんあるし、まるで『13日の金曜日』みたいだし(どう考えても物理的に不可能ではないかということが実行されるという意味で)、「ぎゃーっ!」と言いたくなる場面もあるし、やりすぎで失笑しそうなところもある。 なんか、「これでいいのか・・・」と気持ちが最後まで拭えない。 クロエ・グレース・モレッツとイザベル・ユペール、この二人を楽しむ映画だ!、と割り切ればいいのであろう、やはり。
 しかし・・・日本では「警察に届けて終わり」だから、この映画のような状況はありえない・・・よね?

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2019年12月02日

<マスカレード・ホテル>祭り

 先日WOWOWにて、映画『マスカレード・ホテル』を観た。
 ・・・えーっと、これ、ミステリーだよね?
 ホテルに集う奇妙な人たち、という話だけではなかったよね?

  マスカレード・ホテルP.jpg 「犯人はこの中にいる」って言ってますし。
 犯人がわかるところは畳みかけてきますが、それ以外、ホテルコルテシア東京に至るまでの<事件>の描写が薄すぎる・・・“謎の数字”についても緯度と経度に関係しているのはすぐわかるし(なので冒頭で説明されるがさらっと流しすぎ)、たくさん出てくる豪華キャストに見せ場を与えているだけ・・・に見えてしまうのは何故?
 まぁ、木村拓哉・長澤まさみ・小日向文世の感じはよかったですけど・・・なんか微妙だわ・・・ということで原作を読んでみることに。

  マスカレードホテル文庫.jpg マスカレード・ホテル/東野圭吾
 そしたら意外にも・・・「映画は結構原作通りだったんじゃないか!」と驚く。
 エピソードの順番とか、ゲストの描写がキャストとは合ってない・・・というのはありますが、まぁそれは映像化においては些細なこと。 時間の都合でかはしょられた重要な要素は無きにしも非ずですが、おおまか、原作に忠実。
 となると、東野圭吾は映像化されることを前提にこれを書いたのかな・・・という推測が。
 何を出しても売れてしまう現状、本を読まない人も「東野圭吾なら読む」という状況の中、そういう層のために書いているのかな。 で、そのうち満を持してまた大作・問題作を出してくることを待とう。

  マスカレードイヴ文庫.jpg マスカレード・イブ/東野圭吾
 で、ついでにこっちも読んでみた。 『マスカレード・ホテル』へと続く山岸さんと新田さんの前日譚。 『ホテル』で話題に出ていたが詳細は語られなかったことがここに、それぞれが主役の短編4つ。 内容は・・・まるで東野圭吾のセルフパロディのようだ。 『ホテル』の追補版というか、おまけみたいな感じなのかしら。 
 第三作『マスカレード・ナイト』もあるそうなので、それでシリーズ物としての真価が問われるかな〜。

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2019年12月01日

ドクター・スリープ/DOCTOR SLEEP

 小説『ドクター・スリープ』は映画ではなくあくまで原作小説『シャイニング』の続編である、スティーヴン・キングはキューブリックの映画『シャイニング』を気に入っていない、というのはある程度のキング読者にとって常識である。 で、『ドクター・スリープ』が映画になるという・・・そりゃもちろん原作小説に即してですよね、と思ってたら、予告編では明らかに映画『シャイニング』にかぶるイメージショットが・・・どういうこと? それでキングのお許しはもらえたの?、と気になって、確認に。

  ドクター・スリープ映画P.jpg 『シャイニング』の40年後――呪われたホテルが、目を覚ます。

 <オーバールックホテル(眺望ホテル)>の出来事から逃げ出してきたダニーと母親のウェンディだが、ダニーにはホテルに巣くっていた悪霊たちがまだ見えた。 それから30年以上たってもダニーはトラウマに苦しめられ、アルコール依存症に。 そんな中でも自分がしてしまったひどいことに良心が痛んだダン・トランス(ユアン・マクレガー)は心機一転、ニューハンプシャー州へ、親切なビリー(クリフ・カーティス)と知り合いAAの会に出て、ホスピスでの仕事をもらう。 それから8年、静かな生活が続くかと思われたが、ダニーは自分以上の“シャイン(かがやき=特殊な能力)”を持つ少女アブラ(カイリー・カラン)が、ローズ・ザ・ハット(レベッカ・ファーガソン)率いる<真結族(トゥルー・ノット)>に狙われていることを知り・・・という話。
 冒頭から映画『シャイニング』の音楽が流れ・・・やはり映画を意識しているとわかる。

  ドクター・スリープ映画3.jpg おう、あのホテルじゃん!
 マイク・フラナガン監督はスティーヴン・キングの大ファンだそうである・・・でも映画的にはやはり『シャイニング』を無視はできないのか、原作『ドクター・スリープ』の基本に忠実を守りながら、映画『シャイニング』のその後の物語としても機能するように、という全方向にいい顔をすることを選んだようである。
 それにしてもまず音がいい! 森の場面で小枝を足で踏みつぶす音が背後で聴こえ・・・思わず振り返ってしまいそうになるほど。 効果音がこの映画館の中の音のように聞こえるのは臨場感たっぷりで、特にホラー系の映画には効果的。 なんで日本映画にはこういう音作りができないのか不思議でならない。

  ドクター・スリープ映画4.jpg 邪悪な目を持つトゥルー・ノットのみなさん。
 彼らは“かがやき”を持つ少年少女の生気を吸って生きながらえてきたので、時折狩りが必要になるのだが・・・ロージーの子供を引き付けて取り込もうとする技はほぼ『イット/IT』のペニーワイズと一緒! そう思うと物語の大きな枠組みも一緒だなぁと思えてしまう悲しさよ・・・。
 でもロージーにレベッカ・ファーガソンを持ってきてしまうことに驚きつつ、あまりひどい人に見えない感じがしてちょっと困る(個人的な好みの問題)。 ビリーの人のよさっぷりには癒されたし、ちょい役ながら明らかにいい人なブルース・グリーンウッドの登場はうれしかった。

  ドクター・スリープ映画2.jpg “REDRUM”=“MURDER”も登場。
 ダン・トランスとしてはユアン・マクレガーはかっこよすぎなのだが、ユアンとしてはヒゲぼうぼうのヤバい時期は一気に十歳ぐらい老け込んだ感じでダニーに寄せているとは思えるものの・・・ダニーの苦悩は必要最小限にしか描かれていないので『ドクター・スリープ』の意味さえ付け足しになっている。 そこも映画『シャイニング』と一緒だわ。 ユアンは静かな受けの演技で最初から最後まで。

  ドクター・スリープ映画5.jpg アブラを守ることが過去との清算にもなる。
 ダニーから見たらアブラは恐れを知らない少女。 能力の高さ故にローズ・ザ・ハットとも渡り合えると挑戦してしまう場面は重力も視点も世界も飛び越えるやり取りで、ハラハラドキドキ、映像独自の表現で盛り上がる! しかしアブラは無事だろうと感じてしまうので、心底ハラハラはしないという・・・このへんのバランスは難しいなぁ。 トゥルー・ノットは敵なのだが、小者はあっさり死んだりするので(しかも死んで消えるパターンが『ポーの一族』のバンパネラと一緒)、彼らも哀しい存在なのだと同情心が起こってしまい、追い詰めても爽快感がないという。

  ドクター・スリープ映画1.jpg そして再びあのホテルへ。
 最終決戦の場がオーバールックで、映画『シャイニング』と同じビジュアルが出現・・・『シャイニング』を観直してなかったのでかなり同じように感じた(映像的にはこちらのほうが鮮明だが)。 小説『ドクター・スリープ』の記憶もよみがえり、いろんな誤差に揺さぶられているようだ。 えっ、ラスト、こんなんだったっけ?!、と衝撃で打ちのめされてしまった。
 あぁ、最近忘れてたけど、この理不尽な後味の悪さがスティーヴン・キングなんだよ。
 この映画ではいろんな場所を移動する、ちょっとロードムービー的な要素があるので、映画『シャイニング』の全編にわたる緊張感はない。 でも上映時間は152分あったけど、そこまで長いとは感じなかったかなぁ。 むしろ話を端折りすぎてて駆け足に思えたけど、『ドクター・スリープ』の原作を読んでいない、映画『シャイニング』しか観ていないという人には受け入れてもらえるだろうかと心配になった。

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2019年11月29日

今日は4冊。

 大物、来ました。 今年いちばんの大物かもしれず。

  最後の楽園 服部まゆみ全短編集.jpg 最後の楽園 服部まゆみ全短編集/服部まゆみ
 表紙・中挿絵も銅版画家でもあった著者ご本人。 <全短編集>と銘打っているように、単行本未収録だったものもすべて収録。 といってもほぼ絶版状態なので、読めていなかったものもあり、たいへんありがたい。 だけど、全部そろってしまったからこそ、「これ以外はもうないんだ」という哀しみが・・・。
 あたしとしては珍しく、単行本を買いました。 文庫になるかどうかもわからないし、待ってられないし。

  この世の春1文庫版.jpgこの世の春2文庫版.jpgこの世の春3文庫版.jpg この世の春/宮部みゆき
 デビュー30周年記念大作、文庫化。 しかしこの厚さなら、上中下巻にしなくても上下巻でよかったのでは・・・(単行本は上下巻)、厚い本が好まれていない傾向なのか、単価を上げたいのか理由は不明だが。
 現代ものに比べて、宮部みゆきの時代ものは個人的に合う合わないがあるのだが、シリアルキラー話っぽいので気になるじゃないか。

ラベル:新刊
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2019年11月28日

冬がはじまる

 仕事場からの帰り道、突如イルミネーション登場。
 あぁ、そういう時期が迫っているんですねぇ、と実感。

  20191128イルミネーション.JPG 青・白系のイルミネーション。
 雪が降らない土地では、こういうもので冬を感じるようになってしまった。
 確かに今週からやたら風が強くて自転車やら看板倒れたり、電車内も暖房が入ってやたら暑い(でも電車から降りたら風が冷たくて汗をかいた分一気に冷える)など、体調不良になりそうな要因がいろいろ・・・仕事場でも咳き込む人や鼻声の人がいます。
 夜暗くなるのが早くなったから、イルミネーションのおかげで気が安らぐこともある。
 まだクリスマスソングは聴こえないけど、何が聴きたいかなぁと考える。

ラベル:季節もの
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2019年11月26日

アイリッシュマン/THE IRISHMAN

 シネ・リーブル神戸にて一週間限定上映だったが、「好評につきもう一週間延長」とのこと、だったら観に行ける! 11月27日からNETFLIXで配信開始だが、あたしは加入していないので・・・。

  アイリッシュマンP.jpg I Heard You Paint Houses

 1950年代〜70年代のアメリカ、伝説の殺し屋フランク・シーラン(ロバート・デ・ニーロ)の回想録。 退役軍人として帰還後、ドライバーとして働いていたがひょんなことからシチリア系マフィアのボス、ラッセル・ブファリーノ(ジョー・ペシ)と出会って、全米トラック組合会長として有名かつ多大な権力を持つジミー・ホッファ(アル・パチーノ)と親しくなり・・・アメリカ裏社会をフランク視点で描く。
 施設で孤独な老後を送るフランクを現在(2000年代)として、フランクと妻、ラッセルとその妻の4人で結婚式に車で向かう70年代と、フランクとラッセルが出会う50年代と三つの時間軸が存在し、それぞれが経過していくことでいろいろなことがわかっていく、まさにクロニクル。
 具体的に年号などは出てこなくても、顔でその時期だとわかるのは、CGで顔を若返らせたり老け込ませたりしているからだ!

  アイリッシュマン1.jpg アル・パチーノが出てくるのが結構中盤。
 「あ、マフィア映画、あたしそんなに好きではないのだわ」と思い出すも、もう遅い。 フランクのお仕事は淡々と進み、ショッキング描写は控えめなれど(PG−12です)、役者のみなさんの醸し出す空気感にはたっぷりと時間をとる。 通りすがりのように登場する裏社会のみなさんは、字幕テロップで人生を端的に表示される(大概の方はひどい死に方をしている)けど、これってある意味アメリカの歴史上の人物なのか。
 大筋はあるのだけれどそこに至るためには長い説明が必要で、絶対省略はできないという気合を感じる。 勿論、その間も退屈させない技法が大量投入されているのだが・・・上映時間約3時間半は肉体的な疲労が。 しかしネット配信でこの映画をきちんと観られたかどうか自信はないので(途中で止めて戻れないかも)、映画館で見られてよかったと思う。 とはいえ観客のみなさんも、最後はかなりおつかれだった・・・。
 出ずっぱりデニーロはさすがだし、小者ではないジョー・ペシがすごく新鮮、パワフルすぎるアル・パチーノがデニーロより背が低いことに終始違和感、出番は多くないけどハーヴェイ・カイテルの存在感半端なく、フランクの娘は4人いるのに一人だけフォーカスされるアンナ・パキンに何か起こるのではないかとずっとドキドキしていた。 なんとも贅沢な作品で。
 「アメコミ原作は映画ではない」的な発言をしながらも同様の技術を使い、NETFLIX配信にゴーを出す(最初はそのつもりではなかったようだが、パラマウントが降りて資金を出すといったのがNETFLIXだった)、スコセッシの矜持としたたかさは面白い。

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2019年11月24日

THE SHOW MUST GO ON - QUEEN + ADAM・RAMBERT STORY

 フレディの命日である11月24日、WOWOWにてQUEENの最新ドキュメンタリー登場! 制作は2019年、映画『ボヘミアン・ラプソディ』のブームのあと! クイーンの歴史を踏まえつつ、アダム・ランバートとの<幸運な出会い>についての記録。
 冒頭からラミ・マレックのインタビュー。 ジョー・ジョナスやフー・ファイターズのテイラー・ホーキンスも登場して、ライヴバンドとしてのクイーンの魅力を力説! だからこそ、フレディ抜きでは成立しない、という話なのですが・・・。
 クイーンの歌を全部歌える人がいましたよ、ということです。

  20191124クィーン+アダム・ランバート.jpg クイーン+アダム・ランバート
 フレディ・マーキュリーの代わりではない(アダム・ランバートはクイーンに加入していない)、フレディの代わりには誰もなれない。 しかし、クイーンの歌を一人で全部ちゃんと歌える人がいたので、一緒にやっています、ということです。 勿論、「フレディのいないクイーンはクイーンじゃない」という人は見ていただかなくて結構、ただクイーンの音楽を楽しみたかったらどうぞ、という姿勢を取らなきゃいけないのが、ビッグなバンドの宿命ではありますが・・・(映画がヒットしてたとき、「なんで奴らの老後の年金稼ぎに協力しなきゃならない」みたいな捨て台詞をネット上でいっぱい見たので)。

 フレディ追悼コンサートの模様がデジタルサイズに変換されて流れるのには「おおっ!」となりました。 20人の歌い手が揃わなければフレディの音域・表現をカバーできなかったという事実が、「フレディを継げる人なんていないよ」という共通認識を産んだのでしょう。
 しかし、そのときがアダム・ランバートがのちのち現れるとは誰も知らなかったわけで。
 いいやつだな、アダム! 「フレディに比べられる、というプレッシャーに押しつぶされそうになったけど、フレディになるのなんて無理なんだから、僕は僕と開き直ったら楽になれた」的なことを・・・。
 クイーンがワールドツアーに行くことになって・・・「2014年の日本はとても素晴らしかった」、「日本はとにかく最高だった、どこよりも懐かしかった」と言ってくれるブライアンとロジャーに胸が熱くなりますよ。 日本向けに作ったドキュメンタリーじゃないのに、サマソニLIVEの様子に1975年の初来日のときの映像をふんだんにカットバックで使ってくれて・・・ありがたい。

 というか、若きアダムが入ったことで、ブライアンとロジャーの関係もよくなっている(別に険悪な仲ではなかっただろうけど)のがわかるのがうれしい。 世代的におじいさんになってきてるから、アダムを見守る保護者的な役割が、二人をより歩み寄らせ、穏やかな関係性を構築し直しているというか。 それが演奏に、ハーモニーにはっきりと出る。
 「クイーンを小さいハコで観たいか? 大きなところで大人数でともにあの音楽を分かち合ってこそのライブだしバンドだろ!」という誰かの言葉がすべてを表しているのかも。 そうだ、クイーンのライヴが観られることは、この上もない幸運だ。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | WOWOW・CATV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする